目次
- ○人の「心」は仕事をためるようにできている!?
- ○人間は自信過剰な生き物
- ○まとめてやればOK?
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人の「心」は仕事をためるようにできている!?
こう言うと少し厳しすぎるようですが、「仕事をためる最悪の元凶は、自分自身の心」なのです。ただ、安心してください。というのも、人の心は一般的に「仕事をためるように働く傾向がある」 からです。つまり、仕事をためるのは決してあなたがとくべつ怠惰だからでもだらしないからでもなく、ただ「人の心の持ち主」だからなのです。たとえば、面倒くさい仕事を、ただ面倒だからというだけの理由で先送りするのは、一般的にはかなり「ダメなこと」とされがちですが、人間社会ではきわめてよくあることです。そもそも「先送り」、英語でいえば「プロクラスティネーション(procrastination)」を研究している心理学者が大勢いるということひとつとっても、いかに人間が「先送り」を得意(?)としているかが分かるというものです。大事な仕事、大変な仕事、気乗りのしない仕事を先送りにするのは、ほとんどみんながやっていると言っても決して言いすぎではないのです。 -
人間は自信過剰な生き物
ではどういった「心理」から人間は、「大事だけれど面倒な仕事」を「先送り」にするのでしょう。まず何よりも普遍的なのが 「自信過剰」 です。自分はそうでもないと思っている人が多いかもしれません。しかし、世界中の心理学統計の結果によれば、平均よりもずっと多くの人々が「自分は平均以上の能力の持ち主だ」と信じているといいます。自分を本気で「平均以下だ」と思っている人は、ほとんどいないのです。加えてこれも、心理学・経済学の実験で明らかになったことですが、人は締め切りまでの「余裕」を計り間違えます。どうも「心」はこの種の計算が苦手なようで、たとえば「締め切りまで3ヵ月ある」といった状況を「過大に評価する」傾向があるのです。もっと焦らなければならないときでも、余裕を持ってしまうのです。自分の能力を過大に評価し、締め切りまでの日数を過大に評価したら、どうなるかは明らかでしょう。「あわてて今やる必要はない」と思うから、大変な仕事を先の日に回します。「もっと締め切りが近づいて」(時間の過大評価)も「俺の能力なら間に合わせられる」(能力の過大評価)というわけです。こうしてウサギとカメのウサギみたいに、間に合わなくなるまで仕事に手をつけずにためてしまう人が、あとを絶たないのです。 -
まとめてやればOK?
能力と時間を過大評価しがちな「人間」は、「仕事のたまった状態」を作り出す傾向にもあるようです。能力があるわけですから、「ひとかたまりになってさえいれば、俺が本気を出せばすぐ終わる」と考える。このように考える人にとって「整理」とは「ひとかたまりにまとめておく」ことを意味するわけです。さらに時間もあると思うわけですから、「かたまりが少々大きくなっても、まとまった時間にやっつければ大丈夫」となります。だから「仕事が散逸して、どこにあるか分からない」状態には不安を覚えるものの、「仕事がそこにまとまっている」という状態でありさえすれば、安心してしまう。メールの受信トレイや郵便受けの中が、どれほどの分量になっていようと、あまり焦りを覚えないということになりがちです。つまり「まとめてあるんだろ? なら大丈夫!」という発想なのです。こうして考えてみると、仕事がたまってしまうのは、必ずしも「能力」の問題でもなく「時間不足」の問題でもなく、かなりの程度、「心の問題」であることが分かるでしょう。
仕事の渋滞は「心理学」で解決できる
第1章 「仕事の渋滞」の原因は「心」が9割より
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