目次
- ○メールをためると恐ろしいことになる
- ○ヒトは同じ作業に飽きる
- ○メールチェックだけで1日が終わってしまったら
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メールをためると恐ろしいことになる
ためておいた仕事というのは当たり前ですが、分量が多い。たとえば、「週末にまとめてメールを処理しよう」などと考えていると、今のメールの受信数から考えて、とても1日に処理しきれる量で済むとは思えません。一般社団法人日本ビジネスメール協会のサイトによると、平均的なビジネスメールの受信数は1日55通だということです。仮に50通だとしても、平日だけで250通になってしまいます。1通10秒でチェックしても、チェックだけで40分以上かかってしまう数になります。しかも同じサイトによれば、平均の「送信数」は12通に上っており、1通作成するのに平均7分かかっています。ということは、毎日返さなければならないメール1週間分をまとめて返すとしたら、6時間前後メールにかかりきりになってしまいます。 -
ヒトは同じ作業に飽きる
「心的飽和」 といって、人間は同じ作業を続けていると、飽きてしまいます。 作業の質も低下するし、モチベーションがとにかく下がります。やがて同一の作業を継続できなくなるのです。そうなったとしても、別の作業をやろうとしてみると再開できます。つまり飽きるのと疲れるのは違うということです。もちろん、6時間もメールチェックして送信していたら疲れるに決まっていますが、疲れる以上に飽きるのです。メールチェックや送受信は、「ためてからイッキにやる」ことの事例として分かりやすいでしょう。黙っていても1ヵ所にちゃんとたまってくれますし、まとめて処理するということがイメージしやすいと思います。そういう作業についてすら、これです。わずか1週間分をまとめて処理するだけでも、まったく現実的でないのです。 -
メールチェックだけで1日が終わってしまったら
しかも、ほとんどのビジネスパーソンは、メールチェックだけやっているわけではないのです。私(佐々木 正悟)の仕事は物書きですが、物書きであっても、物を書くだけで仕事が終わるわけではありません。1日中執筆だけしていたら、仕事にも生活にも間違いなく不具合が生じます。税金を払ったり、経費になるものの計算をしたり、パソコンのメンテナンスをしたりするのはどれもなかなか大事な仕事です。もちろん、担当編集者からメールや電話がくるので、それらに対応する必要もあります。つまり、同じ仕事ばかりしていると、他の仕事がたまるのです。たまった仕事を片づけては、別の仕事をため、それをまた片づけているうちに、さらに他の仕事がたまる……。このやり方はまったく合理的ではなく、非効率の極みなのです。また、まとめてしまうと、「旬」を逃すことになります。またしてもメールを事例にしますが、メールを出したとき、1日(24時間)以内に返信が欲しいと思っている人は、実に86%以上だそうです。こういう人たちを最大で4日も待たせることになります。まとめてやるというのには、こういう不都合がいくらでもあります。経費であれば、毎日記録を残すようにすれば、日付の整理などで余計な時間を使う必要がなくなります。レシートを家計簿につけるとき、日をまたがなければ、金額だけを入力すれば済みます。1週間分まとめるから、日付を入力し直さなければならなくなるのです。仕事をまとめるということは、手間とかける時間を増やし、関係者の心証を悪化させるということに他ならないのです。
仕事の渋滞は「心理学」で解決できる
第1章 「仕事の渋滞」の原因は「心」が9割より
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