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【心理ジャーナリスト執筆】仕事をまとめて片づけることがキケンな理由

集中して一気に仕事を仕上げることが好きなタイプの方がいますよね。実際にタイトなスケジュールで仕事を仕上げられるのは、素晴らしいことです。しかし、その挑戦には危険も潜んでいるのです。心理ジャーナリストの佐々木正悟さんが指摘するその問題点をご紹介します。

佐々木正悟

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目次

  1. ○本当にイッキにできれば、まだOK
  2. ○イッキにやるのは、記憶の新鮮さを確保したいから?
  3. ○中途半端に片づけた書棚はますます散らかっていく
     
    • 本当にイッキにできれば、まだOK

      仕事をためて、それでもイッキに片づけることができたなら、まだまだいい方です。
      私(佐々木 正悟)の知人に、「あなたが50日かけて書くような分量の書籍原稿なら、土曜、日曜、ハッピーマンデーの3日で書き上げてしまう!」と豪語していたつわものがいます。
      「すごい効率だ! 私の約16・7倍か!」と感動すらしてしまいましたが、これは終わるからまだいいのです。終わったとたん「バッタリと倒れる」ということでしたが、それでも終わるならいいでしょう。本が3日で書き終わるのですから。
      しかしそれで終わらなかったら……。
      締め切りがある、しかも3日間、おそらく缶詰め状態になって、他の一切の作業をしないのだろうに、終わらなかったら?
      3日で原稿が書けてしまうなら、毎日の仕事量は激減するでしょう。
      でも、書けるということを前提にしておいて、書き上がらなかったとしたら?
    • イッキにやるのは、記憶の新鮮さを確保したいから?

      仕事をイッキにやりたいという人は、ある種の不安を感じているのでしょう。
      それは、イッキにやってしまわないと記憶の鮮度が落ちるという不安です。
      たとえば本を書くにあたって、気持ちの鮮度というものは大事です。
      「その企画なら、面白そう! 書きたい!」というモチベーションは非常に重要です。しかしそういう気持ちは、そんなに長くは続きません。
      自分で目次を書いておいたのに、1ヵ月もたつと、「何で俺、このときこんなことを書きたいと思ったんだろう?」という感じになります。
      これはどんな仕事にでも起こることです。
      それが怖いから、書くとなったら、気持ちが冷めないうちにイッキに書く。書くことも、ネタも、頭の中にあってホットなうちに、イッキに書く。書き切るまで他のことを挟まない。そうしないと、何よりも「気持ち」を忘れるから。それが怖いのです。
      しかし、そうまでして書き切れなかったら、どうなるでしょう? たぶん、残りの分については毎日少しずつ進める、などというわけにはいかないでしょう。
    • 中途半端に片づけた書棚はますます散らかっていく

      私の経験では、中途半端に片づけた書棚や書類は、ますますひどい状態になっていきます。
      曲がりなりにも整理されていた棚を、いったん壊してから、もっと理想に近づけるべく整理を始めるわけですが、壊した途中でやめてしまうのですから、ろくな結果になりません。
      しかも、途中でやめておいて、しばらく放置すると、イメージしていた「理想型」がどうであったのかを思い出せなくなります。
      これは悲惨です。
      多くの人が、大掃除や、書棚整理などを「イッキにやりきってしまいたい」と思うのは、この種の記憶喪失体験があるからです。やる気も失い、理想のイメージも失い、それまで整理されていた状態まで失ってしまう。
      仕事でこんな事態を引き起こしたいと思う人がいるでしょうか?
      イッキにやってやりきれば、やる気を覚えておいたり、理想のイメージを覚えておいたりする必要はなくなります。
      しかしイッキにやってやりきれなければ、やる気を忘れる前に、理想のイメージを忘れる前に、もう一度振り出しに戻って、あらためてイッキにやりきる必要が出てきます。でなければその仕事が暗礁に乗り上げてしまいます。
      こういうリスクを考えれば、モチベーションや理想のイメージにこだわり、イッキにやろうとして仕事をためないことが、やはり賢明だと考えざるを得ません。

仕事の渋滞は「心理学」で解決できる

佐々木正悟

KADOKAWA

第1章 「仕事の渋滞」の原因は「心」が9割より

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