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オメガ6脂肪酸を多く含む植物油とは【医師執筆】

近年、スーパーでもさまざまな種類の油が売られるようになりました。サラダ油やオリーブオイル、ごま油からアマニ油やココナッツオイルなど、植物由来のものが売り場のほとんどを占めますが、これらの中には便秘を悪化させるものがあると言います。同じ植物油でも何故健康面での違いがあるのでしょう。東京医科歯科大学名誉教授の著書から、植物油の違いについてご紹介します。

藤田紘一郎(東京医科歯科大学名誉教授)

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目次

  1. ○安い油は腸に炎症を起こす
     
    • 安い油は腸に炎症を起こす

      オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の極端なアンバランスは、なぜ健康を害し、便秘を悪化させることになるのでしょうか。
      オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸では、働き方が異なります。
      オメガ3脂肪酸は、炎症を抑え、血管を広げ、血液をサラサラにします。細胞膜に使われると、柔軟性を発揮します。
      一方のオメガ6脂肪酸には、炎症をうながし、血液を固まりやすくする働きがあります。細胞膜を硬く丈夫にする作用も持ちます。
      「炎症をうながす」というと、体に悪いことのように感じるでしょう。ただ、炎症とは人体にとって大事な反応の一つです。ケガをすれば赤く腫れます。風邪をひけばのどや鼻の粘膜が腫れ、咳や鼻水がひどくなります。発熱も炎症の一種です。炎症が生じれば、私たちはつらい思いをします。しかし、それは免疫システムが病気やケガを治そうとしている自然の反応なのです。しかも、炎症が起こらなければ、私たちは病気やケガに気づけず、悪化を見過ごすことになるでしょう。さらに、血液が固まらなければ、ケガを治すこともできません。つまり、オメガ6脂肪酸が起こす炎症とは、体の治癒力を高めるために、大事なのです。
      ただし、その程度は最小限でよいはずです。炎症が強く現れると、今度は体に与えるダメージが大きくなります。オメガ6脂肪酸の摂取量が極端に増えれば、体のいたる
      ところで、わずかな刺激に対しても、強い炎症が起こりやすくなるのです。
      オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は、シーソーのような関係です。
      オメガ6脂肪酸の摂取が大量の状態では、いくらオメガ3脂肪酸をとったところで、体はこれを十分に使うことができません。量の多いほうが優先されてしまうからです。オメガ6脂肪酸が飽和状態にあれば、そこからどんどん使われてしまうのです。このシーソーの関係の影響を、腸ほど受けやすい臓器はありません。腸粘膜細胞の新陳代謝のスピードは、体の中でもっとも速いためです。
      細胞が生まれ変わる新陳代謝のスピードは、臓器によって異なります。たとえば心臓は約22日、皮膚は約28日、筋肉や肝臓などは約2カ月の周期で行われます。これに対し、腸粘膜細胞は、わずか2〜3日のうちに次々に入れ替わります。これは、腸の細胞の働きがそれほど過酷であることを表しています。
      そのため、腸では新しい細胞膜の材料として、たえず脂肪酸を欲していることになります。日常的にオメガ6脂肪酸に偏った食事をしていると、それを主な材料に細胞膜がつくられてしまうのです。
      こうなると、腸壁ではわずかな刺激で炎症が生じやすくなります。それがポリープとなり、やがて大腸がんへと進行していく危険性も高まります。腸にできるポリープなどの隆起は、大便の流れをせき止め、便秘を起こす原因にもなります。
      また、オメガ6脂肪酸は、細胞膜を丈夫にすることはお話しました。しかし、こればかり使われてしまうと、硬く、柔軟性に乏しくなります。そうした粘膜細胞で構成される腸では、消化吸収の働きが低下します。免疫機能も落ちます。
      すると、腸粘膜では、悪玉菌の異常繁殖を引き起こしやすくなります。蠕動運動の力が弱まるため、内容物が長くとどまり、それをエサに悪玉菌はどんどん増えていきます。その際、有害物質が生成されます。それによって、大腸の中の炎症はますます悪化することになります。
      つまり、腸粘膜の炎症を悪化させやすい便秘症の人こそ、オメガ6脂肪酸よりオメガ3脂肪酸がはるかに必要なのです。腸壁で生じている炎症を抑え、細胞膜を柔らかくする働きのある脂肪酸だからです。
      よって、サラダ油や紅花べにばな油、ひまわり油、大豆油、コーン油など安い油はできる限り控えましょう。安価な植物油には、オメガ6脂肪酸が多く含まれます。

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