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コミュ障が一対一の打ち合わせを乗り越えるコツ

コミュニケーション能力が低いと感じているコミュ障の方の中には、大勢の前での発表ではなく、1対1の打ち合わせも苦手という人もいるのではないでしょうか。『コミュ障のための聴き方・話し方』の著者で、自身もコミュ障だという作家・印南敦史さんもそういったタイプのひとりだったと言いますが、ご自身の体験から打ち合わせが辛くなくなる方法を見つけられたそうです。ベストな方法を見つけるまでのエピソードを参考にしてみませんか。

印南敦史

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目次

  1. ○中途半端に媚びたりせずひとかけらの興味を持つ
     
    • 中途半端に媚びたりせずひとかけらの興味を持つ

      1対1で顔を突き合わせて行なう打ち合わせにも、コミュ障を悩ませる面倒くささがあることは否めません。
      なぜなら、仕事における1対1の打ち合わせでは、大まかに考えても次のようなことが求められるからです。

       1:相手と同じ(か、それに近い)価値観や考え方を共有すること。もしくは、そんな状態を目指すこと

       2:媚びへつらう必要こそないものの、相手を不快な気分にさせないように最低限の配慮はすること

       3:可能であれば相手の人間性に興味を持ち、肯定的に捉えること

      1対1ということは、複数の聴衆を目の前にしているときよりも、相手との関係性が深くなることを意味します。
      多少の語弊はあるものの、「ダマシが効かない」状態だということです。
      ましてやそこに仕事における共通の目標が存在するのであれば、価値観や考え方を共有することは決して避けることができないでしょう。
      だからこそ意味を持つのが、相手との良好な関係性です。
      といっても当然ながら、中途半端に褒めたり媚びたりする必要はありません。
      そもそもそれは、コミュ障の人にとっては苦手なことでしかなく、そうでなくても打ち合わせは、うわべの媚びで進められるほど単純なものではありません。
      では、どうしたらいいのか?
      まず最初にできることは、相手に対する最低限の配慮です。
      それは媚びとは違います。相手が気をつかってくれていることを感じ取って感謝の意を示したり(恥ずかしくてそれができないなら心のなかで感謝するだけでも意味はあると思います)、相手に対して失礼に当たらないことを「自分なりに」考えてみるだけでもいいのです。
      そこで大きな意味を持つのが「コミュ障の特徴と治すコツ」でご紹介した考え方。すなわち、「相手に興味を持つ」ことです。
      苦手に見える相手であろうが、好きになれないタイプであろうが、なんらかの興味をひとかけらでも持つことができれば、そこが突破口になります。
      つまり、興味が持てれば、マイナスの状況をプラスに転化することも不可能ではないのです。
      広告代理店時代に、こんなことがありました。あるクライアントのところへ、営業担当者(仮にBさんとします)と一緒に打ち合わせに行ったときの話です。
      すでに契約書を交わしていたクライアントなのですが、僕が制作の話をするために同行したところ、あからさまに否定的な態度を取られたのです。
      わかりやすくいうと、「君には興味ないから」と無言で訴えているような感じ。
      しかし僕のことを嫌っているというよりは、その契約をしたこと自体に不満があるように見えました。
      「なんで俺がこんなことやんなくちゃいけないんだよ」とでもいうような。
      とはいえ、それは僕には関係のない話。僕の目的は広告をつくることであり、その人がどれだけ否定的な態度を取ろうとも、広告はつくらなければならないのですから。
      そのとき僕は、「どんなことがあっても媚びは売るまい」と思いました。媚びてどうなるものでもないだろうし、そんなことをしてまで相手に好かれたくはなかったからです。
      その代わり、こちらに「いい仕事をしたい」という意思があることを態度で示しました
      その広告物についての自分の考え方をストレートに伝え、必要とあらば相手の意見に反論もし、早い話が「生意気な人間」になったということ。
      「そんなことをしたら相手から嫌われてしまうのではないか」という思いもないわけではありませんでしたが、その時点ではすでに嫌われていたので、「だったら無駄に気をつかう必要はないじゃん」と開きなおったのです。
      正直、「ここまで大きな顔をしちゃったんだからもう無理かな?」と感じたりもしたのですが、結果は正反対のものとなりました。
      相手は僕に「やる気」があることを感じてくれ、だんだん認めてくれるようになったのです。しばらくすると、その人と2人で顔を突き合わせ、長い時間をかけて誤字チェックをするようにまでなりました。
      あのときの僕は、決して上手な立ち回りをしたわけではなかったと思います。要領のいい人であれば、もっとスマートな方法をとったでしょうし。
      しかし、そもそも「ベストなやり方」などないのです。
      別な言い方をするなら、「ベストな型」は存在せず、ひとりひとりのなかに、それぞれのベストな方法があるということ。
      そう考えることができれば、気も楽になりますし、1対1の打ち合わせもそれほどつらいものではなくなるのではないでしょうか? 自分自身の体験から、僕はそう感じるのです。

人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方

印南敦史

日本実業出版社

若い頃から「コミュ障」を自覚していた著者が、ライターやラジオ番組のパーソナリティーとして、初対面の人の取材を数多くこなせるまでになった「頑張らずにうまくいくノウハウ」を初公開。読めば「これなら自分にもできるかも」と実感するはず!

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