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ワンランク上の仕事をこなす人の特徴

仕事を行う上で、「迅速、正確、丁寧に」とはよく言われるものです。とはいえ、正確さや丁寧さに重きを置くと、どうしてもスピードは落ちてしまう、という意見もありますよね。しかし、本当の仕事とは「いつもより時間をかけずに、いつもより丁寧に」ということだと松下電器創業者である松下幸之助さんは言われています。
経営の神様と呼ばれた松下幸之助さんが何故そう言われたのか、彼の秘書を務めた経験もある実業家・江口克彦さんの著書から真意を探っていきましょう。

江口克彦(経済学博士)

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目次

  1. ○「正確、丁寧。でも間に合わない」は0点
  2. ○決められた期限は必ず守る
  3. ○「自分で決めた期限」にすると達成感が倍増する
  4. ○「時間をかけずに丁寧」がワンランク上の仕事
  5. ○迅速に進めると、日々を軽々と過ごせる
  6. ○複数の仕事を進める際の「三つのJ」
  7. ○「仕事の数」を減らすことを考える
     
    • 「正確、丁寧。でも間に合わない」は0点

      上司から仕事の指示を受け、いつまでに仕上げるようにと言われる。あるいは今週中に結果を報告してくれ、などと告げられることがあります。
      そこであなたは、「よし、できるだけ正確で丁寧な報告書にしよう」と仕事に取り組むでしょう。「正確に、正確に」という言葉が頭の中を駆け巡り、「丁寧に、丁寧に」という言葉が心をよぎります。まさに全力を挙げてその仕事を進めるでしょう。
      しかし、「正確に、丁寧に」と思うから時間がかかる。一生懸命、誠実に取り組んではいるものの、一生懸命になればなるほど時間が刻々と過ぎていきます。結局、上司から言われた期限を超えてしまった。けれど、〝わずか〟2〜3日の遅れ。
      「よし、これでいい。納得の報告書になった。上司も喜んでくれるだろう」と意気揚々と上司に報告に行くと、「もう、キミの報告はいらん。オレがやって処理しておいたから。いや、もう席に戻ってくれ」。
      え? きっと評価してくれる結果をもってきているのに、もういらないとはなにごとだと、不満を持ち、さらにはがっかりするかもしれません。
      しかし、もしそんな結果になったとしたら、上司ではなく自分自身を責めなくてはいけません。
      「舞台」では、時間厳守は絶対です。
      当然でしょう。端役であろうと新人であろうと、舞台の袖から中央に出る瞬時を外してしまえば、それが1秒であっても、その舞台の流れを崩し、場合によっては舞台全体をダメにすることもあるからです。
    • 決められた期限は必ず守る

      あなたが、「わずか」と思った、その2〜3日が、仕事の流れを止めてしまう。結果を出せなくなる。場合によっては大きな商談を逃がしてしまうということにもなるのです。
      「わずかの遅れが会社を潰す」「あなたの仕事の遅れが会社を倒産させる」。大げさかもしれませんが、「舞台」においてはそういうものです。
      決められた時限、決められた期限は絶対に守らなければならない。それが組織で活動する者の役目です。
      アクシデントが発生し、時間を厳守できない、あるいはどうも指示された以上に時間がかかるということもあるでしょう。
      そのときには上司に、なぜ間に合わないか、なぜできないのかを迅速じんそくに報告します。なるべく早く連絡する必要があります。それがわかれば、上司もすぐに対応することができます。
    • 「自分で決めた期限」にすると達成感が倍増する

      仕事を正確に、丁寧にと心掛けるだけではいけないということです。
      少なくとも指示された期限内に仕上げて報告する。これが大事です。
      できれば、その期限より早く仕上げて報告する。
      これを心掛けます。
      それによって、「与えられた期限」ではなく「自分で決めた期限」となり、あなたの「仕事達成感」が倍増します。それだけでなく、上司も「もうできたのか」「もうやってくれたのか」と笑顔になって、あなたの報告を聞いてくれるでしょう。
      もちろん、そこで上司がダメ出しをすることもありますが、上司が指示した期限より早いのですから、最終期限までに修正も補正もすることができます。
      仕事は「正確に、丁寧に」だけでなく、「迅速に」進めることが大事。
      仕事の基本の一つは、「迅速に、正確に、丁寧に」だということです。時間をかけたら丁寧というのは錯覚。時間をかけたから正確というのは誤解であると、心にとどめておく必要があると思います。
    • 「時間をかけずに丁寧」がワンランク上の仕事

      このことは、たとえば、ベテランの陶芸家と見習いを考えてみればすぐに理解できるでしょう。ベテランの陶芸家は土を練り、轆轤ろくろを回し、ひねる。小一時間で壺なり皿なりをつくる。
      もちろん、それに絵付けなり釉薬ゆうやくをかけたりしますから、もう少し時間がかかりますが、少なくともその原型の壺なり皿なりは、おそらくまたたく間につくることができるでしょう。
      しかし、見習いとなると、そうはいきません。悪戦苦闘し、1時間も2時間もかかって、ようやく壺や皿らしきものができる。それと同じです。
      時間をかけたから、いいものができる。いい仕事ができるというものではないということ。見習い陶芸家の「正確に、丁寧に」の心意気はよいとしても、それではなかなか一人前の陶工、陶芸家にはなれないでしょう。
      やはり「迅速に、正確に、丁寧に」を心掛け、期限、時限は絶対に守る。その心掛けこそ「仕事の達人」への道なのです。
      松下電器の創業者である松下幸之助さんが、行きつけの理髪店に散髪に行ったときのこと。
      そのとき、たまたま来客が少なかったそうで、散髪が終わるといつもの担当者が、「今日はお客様が少なく、その分、時間をかけて丁寧に散髪させていただくことができました」と店の帰り際に話しかけました。
      すると、理髪店を出かかった松下さんが足を止め、担当者に、
      「ありがとう。けどね。本当の仕事は時間を短縮してなお丁寧にきっちりやることですよ。だからね、今日はいつもより時間をかけずに、いつもより丁寧にさせていただきましたというのが本当の仕事、本当のサービスというものです」
      と笑いながら話をして、帰っていきました。
      担当者はいたく恐縮しながら、「大変、勉強になりました。これからはそのように心掛けて仕事に取り組んでいきます」と応えたということです。
      この話もまた、仕事は「正確、丁寧」だけではいけない。加えて「迅速」でなければ、本当の仕事ではないというエピソードではないかと思います。
    • 迅速に進めると、日々を軽々と過ごせる

      仕事を「迅速に、正確に、丁寧に」と心掛けると、「仕事の達人」になるだけでなく、なにより、ストレスがまることなく日々を軽々と過ごすことができるようにもなります。
      なぜなら、次々に「迅速に」処理していけば、仕事が溜まったり業務処理がとどこおるようなことは、ほとんどなくなるからです。
      仮に「期限は1週間」となれば、その間に他の仕事もあるでしょうから重なってしまいます。二つの仕事を、どう処理しようかと立ち往生。ついには、混乱してどちらもうまくいかなくなる。
      そんなことが積もり積もってストレスが溜まっていくと、場合によっては、うつになるなどということもあり得ます。
      しかし、1週間でやってくれと言われた仕事を4日間で仕上げてしまえば、3日間の時間ができます。次の仕事を、その3日間で仕上げるべく取り組む。
      そうなれば、次から次へと軽々と、というと言い過ぎですが、あまり負担を感じずに仕事に取り組んでいけるでしょう。とにもかくにも「仕事の迅速な処理」が大事なのです。
    • 複数の仕事を進める際の「三つのJ」

      ところで、仕事と言っても、一つずつ仕事に指示が来るということはありません。もちろん、立場によって仕事量も異なりますが、入社して間もない方であれば、上司からの指示は多くても四つか五つぐらいでしょう。
      もちろん難しい仕事、易しい仕事、さまざまでしょうが、複数の仕事を巧みにこなしていくためには、つねに、
      「順番(Junban)」、
      「時間(Jikan)」、
      「充実(Jujitsu)」
      「三つのJ」を考えながら、臨機応変に対応していくことがコツのように思います。
      頭の中で「処理の優先性」を考えて、どの仕事に最初に取り組み、次はどの仕事を処理していくかと、取りかかる仕事の「順番」を決めます。
      決めたら、それぞれの処理にかける「時間」を決める。
      そして、それぞれの仕事をいかに「充実」させるか、すなわち正確、丁寧に仕上げるかを考えるわけです。
      そうやって処理していっても、次々に新しい仕事を指示されるでしょう。
      そうしたら、改めて、「三つのJ」を前提に、新しい仕事を何番目に入れるか、あるいは重要ではないけれども、すぐに処理できると思うなら、今取り組んでいる最優先の仕事を一度置いて、すぐに処理できる「軽い仕事」を先に処理するといった判断をしていきます。
    • 「仕事の数」を減らすことを考える

      要は、自分が持っている「仕事数」を減らすことを考えるべきなのです。一つでも減れば、それだけ気持ちが楽になるものです。
      すぐできるけれども最後に来た仕事だから最後にやろう、などと指示された順に仕事をしていくのは効率も、精神衛生上もよくありません。
      つねに「仕事数」を減らすことを心掛ける。これが「仕事の達人」の仕事のやり方というものです。
      また、「三つのJ」を考えていると、これは、効率のいい進め方を誰に聞けばいいか、これは誰の協力を得ればいいか、これは誰の知恵を借りればいいか、ということが浮かんでくるものです。
      期限、時限を考えながら、他人の力、知恵を借りるようにする。それだけでなく、いろいろと周囲に協力をお願いする。そうすることで、先輩たちは「オレを頼りにしてくれてるな」とか、「私の優秀さがわかってるじゃない」などと内心満足して、大いに協力してくれるものです。
      最初に戻りますが、時間をかけて正確、丁寧なだけでは評価されません。周りの先輩から「アイツ、なかなかやるなあ」、そして上司から「できる部下」と評価されるのは、「迅速、正確、丁寧」の三拍子がそろったときだということは、知っておいたほうがいいと思います。

働き始めた君に伝えたい「仕事の基本」

江口 克彦

日本実業出版社

経営の神様・松下幸之助の秘書から経営者になったビジネス人生で、実行し、効果のあった大切な仕事のツボ。幸せな「仕事」と「人生」を切り拓く22の指針。

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