目次
- ○いまや寿命にかかわるダイエットの成否
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いまや寿命にかかわるダイエットの成否
糖尿病や高血圧、脳血管障害やメタボリック症候群などを指す「生活習慣病」という言葉が一般的になったのは1990年代後半のことです。それまでは成人病という名称が一般的でした。しかし、研究が進んだことで、加齢によるリスクの増加だけでなく、食生活を中心とした生活習慣が罹患(りかん)に大きな影響を与えているとわかってきました。そしてデータ的に子どもを含めた若年層の罹患が増えてきたこともあり、成人病ではなく生活習慣病と呼ばれるようになったものです。私はこの生活習慣病というネーミングは秀逸だと思います。それはこの言葉が「いまの日本は普通に生活をしているつもりでも病気になってしまう」ということを示唆しているからです。いまの日本では24時間、何か食べたくなったらコンビニに行けばいい。大半の都市部には24時間営業のファミリーレストランやファストフード店も数多くあります。さらに、かつては、そばやラーメン、寿司が定番だった出前も、いまではインターネットでピザをはじめとしたイタリアン、フレンチやハンバーガーなどもあたりまえのように注文できる。こんな世の中になったのは、ここ20〜30年くらいのことです。実家で食事をしていた子どもたちが大学に入学したり、就職したりして、ひとり暮らしを始めたとたんに食生活が乱れてブクブクと太ってしまうというパターンも非常に多く見られます。そして「いつでも好きなものを食べられること」が引き起こす問題に加えて、口にする食べ物自体にも大きな問題があります。白米ならともかく、パンや麺類、お菓子や清涼飲料水、お酒など私たちが普段口にしている炭水化物や糖類は、ほとんどが高度に精製された加工食品です。人間がこれらの高度に精製された加工食品を食べるようになったのは、どんなに歴史の古いものでも、この数百年というところでしょう。数千万年といわれる人類の歴史と比較すると、本当に一瞬と呼べるレベルです。つまり、私たちの身体はしくみとして、これらの加工食品にうまく対応できていないのです。これらの精製された食品の炭水化物は体内であっという間に糖化されて吸収され、急激に体内の血糖値を上げます。血糖値の急激な上昇は血糖値を抑えるためのインスリンの過剰分泌を招きます。これが繰り返されると血糖のコントロールが平常を保てなくなり、インスリンの分泌自体が不可能になります。これによって血糖値のバランスが崩れ、高血糖がずっと続く状態になる。これが生活習慣病の代表格である糖尿病のシステムです。糖尿病の患者数は年々増加する一方です。つまり、いまの日本では「とくにお酒を飲みすぎている人や炭水化物をとりすぎている人、甘いものをやめられない人」だけが糖尿病になっているわけではありません。普通においしいと思うものを何も気にせずに食べたいときに食べていると、誰でも簡単に糖尿病にかかってしまう。普通の生活をしていたつもりが、いつの間にか病気になってしまう。まさに生活習慣病です。私たちをとりまく食環境はそれほどまでに最悪の状態になっているのです。そして私たち日本人の多くは古くからの農耕生活や狩猟生活から離れて久しい状態で、慢性的に運動不足です。ダイエットというと太ってしまって困っている人が実行する特別なイベントのように感じる人が多いかもしれません。しかし、実際は違うのです。「やせたらいいな」などという気持ちでは甘いもいいところ。先に述べたとおり、ダイエットの語源としての意味は「生き方」そのもの。いま、日本で生活している人たちほぼ全員がダイエットを意識した生活をする必要があるのです。
プロ格闘家流「できる人」の身体のつくり方
第1章 「ダイエット常識」のウソ――すべて実体験で検証!より
なぜ世にはびこる「お手軽ダイエット法」は無意味なのか。なぜスポーツジムがすすめるジョギングなどの「有酸素運動」ではやせないのか。なぜ1日3食とってもお腹がすくのか。なぜほとんどのダイエット法は挫折するのか。元世界ランキング1位のプロ格闘家で、日本一たくさん道場を経営する格闘技業界No.1経営者が、食事と運動に関して、プロ格闘家としての経験から学んだ真実に加え、科学的な裏づけもとった「やせてあたりまえの方法」を伝授する。