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- ○嫌われないくらいがちょうどいい
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嫌われないくらいがちょうどいい
あなたにとって、コミュニケーションで疲れない状況は何でしょうか。私は、「大体の人に嫌われないくらいのポジション」を望んでいます。みんなに好かれようとするのは疲れることですし、そもそも百人中百人から好かれる必要もありません。人からどれだけの人気を得るのか、それは遺伝子だけではありません。人気の出る必勝遺伝子は、存在しないと思っています。もし遺伝子で決まっているものがあるとすれば、左右対称な顔や体を好む傾向性でしょうか。一般的には、私たちは左右対称性を保っている人を、体が健やかで問題を抱えていないとみなすようです。他にも、声や身長、匂いといった、遺伝子で決まる部分での好みは、確かに人から好かれるときに本能的に作用します。ただ、一概に身長が高ければ全員に好かれるかと言えばそうではありません。惹かれる側もまた十人十色の遺伝子を持っていますから、好みもそれぞれです。これぞ必勝という法則は見つけられないのです。各人のセールスポイントはみんな何かあるわけで、たまたまそのセールスポイントが万人にウケるような普遍的なものであったらみんなにウケますし、マニアックなものだったらマニアックな人にウケるだけのことです。遺伝子ではそのくらいまでしか決められません。だから、やることと言えば、自分のいいところを見せるようにし、見せる必要のないところは見せないくらいしかないでしょう。そうしておけば、大体の自由が許される、気疲れしない環境が手に入ります。私で言えば、私は生まれつき論理的な思考が得意だと思っているので、難しい話し合いなどでは話の要点を整理し、スパッと本質を衝つ くようにしています。逆に、得意だからといって、気軽な会話で話をこねくりまわしていたら嫌われますから、これはやりません。また、難しいことを人にわかりやすく伝えるには、素質だけでなく努力が必要です。才能があったとしても努力しなければ、人にそれが伝わることはありません。ですから私は日々、講演会や授業を聞いた人、あるいは本の読者から、わからなかったことを聞いて、フィードバックをもらいます。「わからなかった」と言われると、「これでもわからない!?もうこれ以上わかりやすくできないんだけど……」なんて思ったりもしますが、そのたびに伝え方を考えます。こうして気に入ってもらえば、多少の困った性質くらいは許してもらえますし、仕事ももらえます。そうすれば自分が望むような生活ができる。これが楽にするための一手間です。自分のいいイメージを信じて、それが表われるように行動すれば、「自信」が手に入ります。他人から見たとき、自分がいい状態で可視化されるようにすれば、それが周りから反射して返ってくる、周りにも認められる、ということです。
考えすぎる脳、楽をしたい遺伝子
第4章 群れの中で疲れずに働くより
現代人は、脳ばかりが暴走して、身体の限界を超えることをやってしまうバグを抱えているのです。本書では、「科学界のインディー・ジョーンズ」が、過酷な探検と研究のなかで見つけた、『ストレスなく、悩まずに生きる方法』を紹介します。