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SQL文を記述しデータベースを利用するまでの流れ
データベースの実体は、データを記録したファイルです。このファイルは、複数のユーザーから利用されます。それを実現するプログラムがDBMSです。ユーザーは、SQLという言語を使ってSQL文を記述し、それをDBMSに伝えることでデータベースを利用します。
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目次
- ○データベースはデータの基地である
- ○SQL文を使ってDBMSに命令を伝える
- ○SQL文には「参照系」と「更新系」がある
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データベースはデータの基地である
「データベース(database)」は、「データ(data)」の「基地(base)」という意味です。データベースという言葉は、1950年代にアメリカ国防総省で誕生したといわれています。データがあちこちに散在していたのでは、何か行動をするときに、データの収集に時間がかかってしまいます。そのような無駄をなくすために、データを一か所に集め、常に最新の正しい内容に保ち、必要なときにすぐに利用できるようにしたものが、データの基地、すなわちデータベースです(図1-1-1)。この時代のデータベースは、紙に書かれたデータを集めた建物だったでしょう。現在では、ファイルに書き込まれたデータを格納したコンピュータが、データベースとして使われています。このコンピュータは、複数のユーザーにデータを提供するので、「サーバ(server=提供者)」と呼ばれます。データベースの機能を提供するサーバなので、「データベースサーバ」です。サーバを利用するユーザーのコンピュータはクライアント(client=利用者)と呼ばれます。重要!
現在のデータベースは、複数のユーザーにデータを提供するサーバである。 -
SQL文を使ってDBMSに命令を伝える
データベースの実体は、サーバに格納されたファイルです。このファイルは、「DBMS(Data Base Management System = データベース管理システム)」と呼ばれるプログラムによって管理されています。ユーザーは、DBMSを介して、間接的にファイルのデータを読み書きすることになりますユーザーは、DBMSに「ファイルにデータを登録せよ」や「ファイルからデータを検索せよ」などの命令を伝えます。これらの命令を記述するために使われるのが、「SQL(Structured Query Language = 構造化問合せ言語)」という言語です。複数のメーカーが様々なDBMS製品を提供していますが、どのDBMS製品であっても、SQLの構文は、基本的に同じです。したがって、SQLを覚えれば、どのメーカーのDBMS製品でも利用できます(図1-1-2)。重要!
どのDBMS製品でも、SQLの構文は、基本的に同じである。SQLの構文で記述された命令文を「SQL文」と呼びます。SQL文は、ユーザーが手作業で打ち込んでDBMSに伝えることも、何らかのプログラムを操作してDBMSに伝えることもできます。本書では、学習のために、手作業でSQLを打ち込んでDBMSに伝えます。実用的なプログラム(データベースを利用するアプリ)では、ユーザーの操作をSQL文に置き換えてDBMSに伝えます。たとえば、社員データベースを利用するプログラムの画面で、「山田太郎」という氏名を入力して「登録」ボタンをクリックすると、それが「社員に山田太郎を登録せよ」を意味する「INSERT INTO Employee VALUES ('山田太郎');」というSQL文(このSQL文の意味は、後で説明します)に置き換えられてDBMSに伝えられます。本書では、この「INSERT INTO Employee VALUES ('山田太郎');」というSQL文を、Windowsのコマンドプロンプト(キー入力で命令を伝えるウィンドウ)に手作業で入力します(図1-1-3)。 -
SQL文には「参照系」と「更新系」がある
これまで、DBMSにSQL文を伝えて間接的にファイルのデータを読み書きすると説明してきましたが、SQL文でデータを読み書きする命令は「読む」と「書く」ではありません。基本的に「検索する」「登録する」「更新する」「削除する」が用意されていて、それぞれSELECT(セレクト)、INSERT(インサート)、UPDATE(アップデート)、DELETE(デリート)という命令です。SELECTは、直訳すると「選択する(取得する)」という意味ですが、何らかの条件を指定してデータを選択することは、一般的な感覚では「検索する」です。INSERTは、直訳すると「挿入する」という意味ですが、データベースに新たなデータを挿入することは、一般的な感覚では「登録する」です。UPDATEとDELETEは、直訳と一般的な感覚が同じであり、「更新する」と「削除する」です。さらに、SELECT、INSERT、UPDATE、DELETEは、参照系と更新系に分類できます。参照系とは、データを見るだけであり、変化させないということです。SELECTは、データを検索するだけで変化させないので、参照系です。更新系とは、データを操作して、変化させるということです。新たにデータを登録するINSERT、既存のデータを書き換えるUPDATE、そして既存のデータを削除するDELETEは、更新系です。つまり、「検索する」「登録する」「更新する」「削除する」という命令は、大きく「参照系(読む)」と「更新系(書く)」に分類できるのです(図1-1-4)。データベースの活用において、SELECT、INSERT、UPDATE、DELETEの中で、どれが最も重要でしょう。データベースを活用するとは、業務や日常生活にデータを役立てることです。したがって、データを検索するSELECTが、最も重要です。たとえば、「当社には、100万件の取引情報があるが、ほとんど検索されていない」では、データベースを持っている意味がありません(データは、1件、2件、・・・、と数えます)。「当社には、100万件の取引情報があり、毎日1万回以上も検索されている」となってこそ、データベースが活用されているといえます。そこで、本書でも、データを検索するSELECTの使い方に、特に重点を置くことにします。データの登録、更新、削除を行うINSERT、UPDATE、DELETEは、データベースの内容を最新の状態に正しく保つために使われます。これらも、もちろん重要です。本書では、INSERT、UPDATE、DELETEの使い方も説明します。重要!
データベースを活用するとは、必要なデータを「検索」することである。
データベースの実体は、データを記録したファイルです。このファイルは、複数のユーザーから利用されます。それを実現するプログラムがDBMSです。ユーザーは、SQLという言語を使ってSQL文を記述し、それをDBMSに伝えることでデータベースを利用します。
いちばんやさしいSQL入門教室
Lesson1-1 データベースの基礎を知るより
データベースとSQLの基本と操作が、この一冊でしっかり学べます。 SQLには「読む」参照系(SELECT)と「書く」更新系(INSERT、UPDATE、DELETE)の命令があります。 「データベースを活用する」ということは、「業務や日常生活にデータを役立てること」です。 したがって、データを検索する「SELECT」の使い方をマスターすることが最も重要と言えます。 そこで本書では、特に参照系の使い方に重点を置いて解説しています。