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企業がSDGsを導入するメリットとは

実状に則して考えると、企業がSDGs経営を行うことによるメリットは3つあります。その3つのメリットを具体的にしながら、SDGs経営の推進が、なぜ企業に必要なのかを掘り下げてご紹介します。

越川智幸

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目次

  1. SDGs経営3つのメリット
  2. 真に良い会社になる
  3. お客様からの信頼を得られる
  4. 新たなビジネスチャンスにつながる
     
    • SDGs経営3つのメリット

      実状に則して考えると、中小企業がSDGs経営を行うことによるメリットは3つあります。
      ①真に良い会社になる
      ②お客様からの信頼を得られる
      ③新たなビジネスチャンスにつながる
      端的にいえば、SDGs経営を推進することは「お客様や地域社会に支持され続ける良い会社になること」であり、逆にいえばそのような「良い会社になること」がSDGs経営の実践と考えられます。
      中小企業では、長年にわたり地域のお客様に商品やサービスを提供し続けているにもかかわらず、自社が何を大事にして経営をしているのか、どういう価値を地域社会に提供しているのか、地域社会にどのように見られているかを明確に把握していないことがあります。
      SDGs経営の推進は自社の存在意義を整理し、経営課題を改善することにつながっていくのです。それでは先ほどあげた3つのメリットを具体的にしながら、SDGs経営の推進が、なぜ中小企業に必要なのかを掘り下げていきましょう。
    • ①真に良い会社になる

      「利他の心」による経営
      SDGs経営とは「利他の心」による経営です。利己的に行動する時代は、すでに終わりました。SDGs経営とは、環境、社会、地域に貢献する仕組みを事業活動に組み込むことであり、地域に根差した事業活動基盤である中小企業にとっては、必要不可欠な観点です。
      SDGs経営は、事業活動と関係のない寄附などの慈善活動に熱心になるというより、事業活動を行うことで特別に意識しなくても結果として環境や社会に良い影響をもたらすことになる仕組みづくりです。
      例えば、企業が事業活動をするにあたり、自社だけが発展・成長すれば良いという考えの下で自社の利益のみを追求すると、環境や社会はどうなるでしょうか。産業革命以降、資本主義の名のもとに、利益追求、効率追求の時代が続いてきました。その結果、大気汚染、森林伐採および地球温暖化等の地球環境問題が生じたのです。
      この反省から、現在では経営判断にあたり、SDGsの観点から環境や社会が存続できるよう配慮することが重要視されています。、一方、地球温暖化等の地球環境問題への対応は世界共通の最重要課題ですが、企業が利益を度外視して環境や社会を配慮し続けるのは不可能です。企業が一定の利益を生み出し続け、その事業の仕組みの中に利他の心で行動する基準を組み入れるのが、SDGsの考え方です。
      SDGs経営を行うことで、環境や社会に良い影響をもたらすこと、地域社会に貢献することが、事業活動を通じて持続的に実行できるようになります。「利他の心」による経営で真に良い会社になれば、意識することなく環境、社会、地域に貢献することが可能となり、周りからも良い会社と認識されるようになります。
      SDGs経営の基本的な考え方「利他の心」による経営で良い会社になる。それはパナソニック創業者である松下幸之助氏が大切にした考え方です。逆の見方をすれば「利他の心」による経営であればこそ社内に受け入れられ、事業が成長したともいえます。これについては、松下幸之助氏の理念を経営コンサルタントの視点から解説した小宮一慶さんの著書『松下幸之助パワーワード 強いリーダーをつくる114の金言』のパワーワード39「企業は社会の公器」に記されています。「企業の役割は社会生活を向上させることで、社会に貢献しなければならない。企業は社会から預かっている公器だから。」企業は社会に貢献するために存在するもので、それこそが存在意義であるということです。SDGs経営は環境や社会に良い影響をもたらす視点を取り入れるため、自社を「社会の公器」として存在意義を明確にするメリットがあります。
    • ②お客様からの信頼を得られる

      存在意義の無い企業は長続きしない
      お客様の信頼を得るためには、自社の存在意義が明確であり、地域になくてはならない存在であることが必要です。SDGs経営では、環境や社会に良い影響をもたらすことを強く意識するため、自社が地域に不可欠の存在なのか、どのような価値を地域社会に提供しているのかを考え、明確にすることができます。
      2019年はタピオカが大人気になりました。おしゃれなお店が多く増え、大行列が絶えないお店をよく見かけました。テイクアウトのお店であれば、小さな店舗面積と少額の設備投資で事業を始められるとあって、新規事業としてチャレンジする方が多くありました。しかしながら、流行が一段落すると多くの店が閉鎖を余儀なくされたようです。
      社会の動向を把握して新規事業に挑戦することは良いことですが、存在意義を明確にせず、一時のブームに乗じるのみでは長続きはしません。一部には、短期間のブームの間に投資資金を回収できるほど高い価格設定、利益率を過剰に高める安価重視の原材料使用、お客様軽視のお店もあったようです。
      一方で、材料調達に配慮するなどお客様の健康面に心配りのあるお店、ゆったりお客様に憩いの場を提供しているお店は存続しているそうです。これは極端なブームの例ではありますが、いかに存在意義を明確にすることが大事なのかを認識していただきたいと思います。
      自社が無くなったらお客様は悲しむか
      SDGs経営では、事業活動を通じて関係する相手先に対して、どれだけの影響があるのかを考えます。事業の相手先には、株主(オーナー)、借入をしている金融機関、仕入先企業、得意先企業、地域のお客様などがあります。地元密着の中小企業であれば、経営者がオーナーであることが多く、基本的には自社の収益源泉となるお客様への影響を第一に考えます。
      ご自身の会社を考えてみてください。自分の会社は、長年にわたり地域に愛され固定客も多く、「仮に自社が無くなったらお客様は悲しむに違いない」とお考えになると思います。では、なぜ自社はお客様にとってなくてはならない存在なのか、どのような意義や価値を提供しているのか。それをよく考えることが自社にとって重要であることを示す例を1つ挙げましょう。
      人口規模の大きな都市で約10年間にわたり営業を続け、固定客も多く順風満帆の整骨院。お客様が増えたことから、事業拡大のため2㎞ほど離れた場所に拡張移転しました。「さほど遠くへ移転するわけでもなく、お客様は付いてきてくださるだろう」と考えていましたが、予想に反して大半は他の整骨院へ移り固定客が激減したのです。整骨院はこの失敗を教訓に、SDGs経営の視点で自社を見つめ直し存在意義を明確にした上で、経営改善を図ることに。もともと院長はお客様への心配りが丁寧で施術も好評であり、経営は再び軌道に乗るものと確信しています。
    • ③新たなビジネスチャンスにつながる

      大企業のSDGsに対応する
      取引先ニーズへの適合は、経営の基本です。大企業はSDGsに積極的で、SDGs方針を定めた上で、サステナブル調達基準書を設定し、仕入先に対して要請しています。中小企業において、重要な取引先が特定の大企業である場合は、その取引先のSDGs方針およびサステナブル調達基準書を丹念に把握する必要があります。一つ一つの項目について適合状況を確認し、不適合項目については適合するための方策を検討しましょう。
      大企業のSDGs取り組みを把握し積極的に対応することで、新たな取引関係を結ぶきっかけになります。大企業からのSDGs要請に対応できない中小企業は選別・淘汰されますが、SDGsを新たなビジネスチャンスとして認識し積極的な取り組みを行う中小企業には明るい道が開けます。大企業はSDGs関連の情報をホームページに掲載しているので自由に閲覧できます。さあ、今がチャンスです!
明快!中小企業のためのSDGs経営

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越川智幸

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