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立花高校(福岡県)が考える「不登校」とは
文部科学省によると「不登校児童生徒とは、何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいはしたくともできない状況にあるために、年間30日以上欠席したうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」と定義していますが、本当にその定義は正しいのか?立花高校が考える「不登校」についてご紹介します。
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目次
- 「不登校」とはなにか?
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「不登校」とはなにか?
今では10人に1人が不登校の中学校がある時代。文部科学省での取り組みが本格的に始まる以前から、立花高校は高校中退者や不登校生、発達障がいのある子へのサポートに目を向け、積極的に受け入れてきました。中でも、年々増えているのは、不登校生です。不登校の定義とは、そもそも何でしょうか。文部科学省によると「不登校児童生徒とは、何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいはしたくともできない状況にあるために、年間30日以上欠席したうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」と定義しています。2017年度の文部科学省の統計によると、小・中学校における不登校児童生徒数は14万4031人。少子化が進む中、不登校の割合は増えているのが現状です。齋藤校長は不登校の定義に対して異議を唱えます。
「私はこれにぴんときません。じゃあ、29日学校を休んでいる生徒は不登校じゃないんですか。この子がもしも明日欠席したら、明日不登校生徒になる。じゃあ、今日の子どもと明日の子ども、何が違うんでしょう?」さらに、自身が体験したエピソードがこの境界線に対する違和感を一層深めます。
「14年前に実家に帰った時に象徴的な出来事がありました。母が用意してくれたお刺身醤油が偉く美味しかったんですよ。芳醇でこくがあってとろみもついて。で、しばらくその醤油瓶を手に取って見ていて絶叫です。『お母さん! これ、1年以上賞味期限過ぎちょる!』って」我が家ではあの日から、賞味期限を見て仕分けするようになったんです。で、もうダメになったやつを捨てようとするのですが、『待て、このソースはギリギリセーフだ。1カ月しか過ぎちょらん』って。…意味が分かりません。1カ月過ぎちょるからアウトのはずです。でも、それがセーフになる。しかし、3カ月過ぎたらさすがにアウトとか、結局は自分たちで決めたルールで賞味期限が動くんです。物事の本質を見事についたエピソードだと思いませんか?使う人次第で、恣意的に移動する賞味期限の幅。セーフかアウトか、マルかバツかを決めているのは実は「私たちの解釈」であるということが、このエピソードから実に明快に伝わってきます。講演会でもしばし笑いが起こる齋藤家のエピソードですが、この後、会場にいる一人ひとりの顔を見渡すようにして、こう訴えかけました。「思い切った言い方をしますが、200日休んでいても生きる力を逞しく育んでいる子はたくさんいるんです。逆に1日も学校を休まない子で、心がすっかり折れてしまっている子がいる。文部科学省が不登校という決め方をしなければ、うちの子どもたちは欠席が多いだけの、それは素敵な素敵な子どもたちなんです。それをひとくくりで不登校という。このことにとても腹が立ちます。何日学校を休んだか? よりもっと気付くべき事はある」たった1日の欠席日数の違いで、「不登校」という境界線が引かれてしまう今の社会。
こうした大人の考え方が、子どもの価値や教育を否定しているのではないかと、齋藤校長は警鐘を鳴らします。
「いいんだよ」は魔法の言葉】「不登校」とはなにか?
『学級崩壊立て直し請負人』著者教育実践研究家菊池省三氏推薦!立花高校は、閉塞感漂う日本の教育に光を照らす学校です。読み終わった後、「一人の子を粗末にする時、教育はその光を失う」という言葉とともに、全ての子どもたちのことを、愛おしくて愛おしくてたまらない気持ちになるでしょう。本来あるべき教育の姿に気づかされます。