目次
- ○「とりあえずビール」って失礼?
- ○プロがまず「ハウスワイン」から頼むワケ
- ○「オススメください」は地雷ワード
- ○予算を伝えると店員は喜ぶ
- ○Points!
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「とりあえずビール」って失礼?
バーやレストランで働いていたこともある僕が受ける質問のなかで、「1杯目に何を飲むべきか?」は常に上位にランクインします。曰く、ちゃんとしたお店では「とりあえずビール!」は失礼なのか?昭和っぽくてダサいのか?と。答えは、「ノー」。自分が飲みたいものを飲むのが、お酒の楽しみ。基本はノールールなんです。ただし、「お酒を楽しむ」という意味では、1杯目はスパークリングワインに挑戦してほしいのもホンネ。これはルールではなく、「せっかくならオシャレに楽しんでほしい」というレベルの話です。初心者あるあるとして挙げられるのが、「スパークリングワイン=シャンパン」と勘違いしてしまうこと。シャンパンはスパークリングワインのなかでも、フランスのシャンパーニュ地方でつくられたものだけを指します。簡単に言えば、「位の高い」スパークリングワインです。だからうっかり気軽に「シャンパンください!」と言うと、グラス1杯3000円もするワインが出てきてしまうこともあるのです。僕は、大学生カップルがデートで緊張しながら「シャンパンください!」と言ってきたら、そっと「スパークリングとシャンパンがございますが、いかがなさいますか?」と確認することで、会計時の悲劇を防ぐようにしていました。ビールとスパークリングワイン、いずれにしても1杯目に炭酸がオススメなのは、食欲増進の効果があるためです。食前酒なので、食事の組み合わせは考えなくてOK。お連れの方が飲めない人なら、ウーロン茶やただの水ではなくペリエなどの炭酸水を頼んであげるとスマートです。ちなみに1杯目のスパークリングワインは、本来は1皿目が来るまでに飲みきるもの。あくまで「食前」酒ですから、チビチビいつまでも飲み続けるものではありません。ちゃんとしたお店ほど、できればお客さんが1杯目を飲みきってから料理を出したいと考えています。もちろん、なかなか飲み干さないときは、先に出しちゃいますけどね。 -
プロがまず「ハウスワイン」から頼むワケ
その店のグラスワインでもっとも安価なワインが、ハウスワインです(メニューに「ハウスワイン」と明記されている場合もあれば、されていない場合もあります)。グラスで500円前後から提供している店が多いでしょうか。このハウスワイン、「あまりおいしくない、ワインにこだわらない人が頼むもの」だと思われがちですよね。でも、とんでもない!ハウスワインはいわば、その店の「名刺代わり」。ソムリエがワインバーなど同業者の店に行くときは、まずハウスワインを飲みます。寿司屋の腕は卵焼きを頼めばわかる、というやつと同じですね。ですから、「本当にいい店は、ハウスワインにもっともこだわる」と言っても過言ではありません。松竹梅があると「竹」を選んでしまうように、つい避けられがちなハウスワイン。でも、一番安い「梅」にこそお店の実力が隠されているのです。また、ハウスワインは1杯目にもってこい。なぜなら、際立った特徴がなく、バランスのよいものが選ばれる傾向があるからです。「次のワインの道しるべになる」という役割を担っているんですね。まずは、何も考えずにハウスワインを飲む。その味をベースに、「これよりもっと酸味が強いものを」「もっとタンニンがしっかりしているものを」と頼むことで、自分が飲みたい味や好みを伝えることができるのです。ただし、スーパーに並んでいる紙パックワインのようなお酒をハウスワインに選んでいる、本当にダメなお店もごく稀にあります。ハウスワインが「まずい!」と思ったら、早めに次の店へ切り替えましょう。 -
「オススメください」は地雷ワード
自分の好きな品種がわかったとしても、いつもそればかり飲んでいては飽きてしまいますよね。店員さんのセンスに任せて新しい出会いを期待するのも、ワインの楽しみです。とはいえ、「お店の人に質問した後、うまく話せなかったらどうしよう……」とためらう気持ちがあるのも、とてもよくわかります。ここではそんな不安を解消するため、日々お客さんと向き合っていた立場から、ちょっとしたコミュニケーションのコツをお伝えします。まず、よほどの常連でなければただ「オススメをください」と頼むのはやめましょう。プロであっても、相手の好みがわからなければ何を基準に選べばいいか迷ってしまいます。いろいろと飲んでみたいけれど何を頼んだらいいかわからないときは、「料理に合わせたいんですが、どんなものがいいですか?」と聞いてみるのが王道です。ワインは食事との組み合わせにより、味わいが変わるもの。メニューの味がわかっている店員さんにお任せするのが、一番ハズレがないのです。お皿が進むごとにワインもガラリと変わり、飽きずに飲み進められますしね。また、赤ワインが飲みたいときの「注文ワード」は「軽めで」もしくは「重めで」、白ワインを頼むときは、「甘口で」もしくは「辛口で」と好みの方向性を示す言葉を添えると、ハズさずに選んでもらうことができます。 -
予算を伝えると店員は喜ぶ
ボトルでワインを飲んでみよう!と意気込んだはいいけれど、ワインリストを手に固まってしまった。そんな経験はありませんか?ワインリストでやはり気になるのはまず価格。お財布と相談してほどよいワインを飲みたいけれど、「味じゃなくて値段で決めるケチな素人だと思われたらどうしよう……」「1番安いワインを選んだら恥ずかしいのかな……」と、予算を伝えることを躊躇してしまう人がいます。気持ちはわかります。僕も高級ブティックに行くと、「値札をチェックしたのがバレたらかっこわるいのかな……」と同じように感じますから。でも、気にする必要はありません。店員さんだって、それぞれのお客さんに予算があることはわかっています。それに、一番安いワインだろうと1本3万円のワインだろうとその店が責任を持って選んだワインですし、ソムリエや店員さんは、値段の上限を示してもらえることをむしろ歓迎しています。「これだと高すぎるかな?」と心配せずに提案できるのは、オススメする側にとっても安心ですから。ワインリストやメニューが手元にあったら、だいたいこのあたりまでなら出せる、という価格を指さして「これくらいのワインで、酸味があまり強くないものを」などと伝えるとスマートでしょう。もし可能であれば、最初に「今日はグラス3杯くらい飲むと思うんですけど」「4人なので、ボトル3本くらいかな」と伝えると、食事を考慮しつつ「ワインコース」を組み立ててもらうことができます。自分のだいたいの酒量がわかってきたら、ぜひ予定の杯数を伝えてください。もちろん、伝えた杯数より増えても減っても、気にしなくてOKです。 -
Points!
1杯目は炭酸から。1皿目が来る前に飲みきるのがベストハウスワインこそが、そのお店の実力を表す困ったら「料理と合わせたいんですが、どんなワインがいいですか?」
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