目次
- ○「1日2回」白いごはんを食べる
- ○「パンの常食」をやめる
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「1日2回」白いごはんを食べる
乳がん患者の特徴は、とにかく「ごはんを食べる回数が少ない」ということに尽きます。よくて1日、茶碗1杯程度。そして8割もの人は朝にパンを食べる。若い女性には大なり小なりこうした傾向がありますが、乳がん患者さんはこの傾向がとくに強い。だからこそ、まず実践してもらいたいのは「食の柱」を変えること。つまり、主食であるごはんをとにかくしっかり食べてもらいたいのです。せめて、1日2回。2回食べれば、おのずと副食もそれなりに良いものに変わります。パン食における副食といえば、ドレッシングたっぷりのサラダ、ハムエッグ、ベーコン……油だらけの食事です。ですが、白いごはんを主食にすれば必然的に日本食になる。かつて、厚生労働省の研究班が、乳がんにかんする調査結果を発表して話題になりました(2003年6月)。それは、「みそ汁を1日3杯飲む人は、飲まない人よりも乳がんが少ない」というもの。40代、50代の日本人女性約2万人を対象に10年間追跡調査し、その結果、「みそ汁を3杯以上飲む人は、1杯以下の人にくらべて、閉経後の発生率は4割少ない」という結果になったというのです。そこで、注目を集めたのが、みそ汁の原料である大豆に含まれる「イソフラボン」という物質。乳がんは女性ホルモンの「エストロゲン」が過剰に分泌することで起きるといわれますが、イソフラボンにはそのエストロゲンの作用を抑えるはたらきがあるのではないかといわれたのです。ですが、わたしはみそ汁に含まれる「イソフラボン」のはたらきだけで乳がんを抑えた、といい切るには多少無理があるのではないかと思ったのです。それよりも、ポイントは「みそ汁を毎日3杯以上飲む」という、その食生活ではないでしょうか。「みそ汁を1日3杯以上飲む」という人の食生活は、おそらく朝も昼も夜もみそ汁を飲んでいることになるでしょう。つまり、わたしが注目したいのは「基本の献立が、日本の伝統的な食事になっている」ということです。
あくまでも主食はごはん。それにみそ汁があり、その他に1、2品、何かおかずがついているような献立です。間違っても、パンを主食にしているとは思えない。なぜなら、パンにみそ汁は合わないからです。パスタも同様です。主食がごはんであれば、おかずのことはそれほど気にかけなくても必然的に良いものになります。健康志向の強い方は、「玄米を食べるか、白米を食べるか」などと迷われることも多い。ですが、そんなハードルの高い問題は二の次。まずは1日2回、白いごはんを食べる。この柱なくして、次の提案はありません。 -
「パンの常食」をやめる
現代人は、なぜパン食を好むようになったのでしょうか。理由は大きく3つあります。ひとつは、「夜型の生活」になったこと。仕事から帰ってくると、夜の10時や11時になって、それから夕食を食べる。もはや、それは「夕食」ではなく「夜食」です。本来ならば、お茶漬け1杯程度の軽いものですませるところ、「夕食くらい豪勢に」ということで、しっかりと1食分食べる。必然的に朝は胃がもたれてしまい、ごはんを食べる気が起きない。結局、朝はパンひと切れにコーヒー1杯ですます。夜型になることで、「朝はパン派」という人が増えたのです。ふたつめは、パンはとても「手軽」だということ。ごはんとみそ汁は、温かくないとおいしくありません。つまり、食べるとなると多少の手間がかかる。それにくらべて、菓子パンなどは冷たいままでもおいしく、袋から出せばすぐに口に運べる。この手軽さが、忙しい現代人にはもってこいなのです。3つめは、パンは「あまい」から、なかなかやめられないということ。菓子パンには、砂糖がたっぷり含まれています。精製食品によっておいしくなっているのだから、とくにあまいもの好きにはやめられない。しかも、菓子パンだけでなく食パンにも砂糖は含まれています。ですが、パンには砂糖だけでなく、食品添加物や油分もたっぷり含まれている。菓子パンはもちろん、パンは基本的に「お菓子」だと思ったほうがいい。しかも、食パンが主食になると副食も油だらけになる。朝食にパンを食べると腹持ちが悪いので、間食も多くなりがち。もう悪循環だらけです。パンが好きでたまらないという人は、「日曜日だけ食べる」など、せめて日を限定したいものです。