目次
- ○「常備食」をそろえておく
- ○「何を食べないほうがいいのか」を考える
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「常備食」をそろえておく
昔の女性は、忙しくはたらく現代の女性よりも時間があったかといわれると、じつはそうでもありません。洗濯機や掃除機、給湯器やガスコンロのない時代、女性にとって「家事」はたいへんな労働でした。朝から晩までヘトヘトになるほどはたらき、やっと1日の家事をすませることができたという状態だったでしょう。しかも、ひとつの家族に子どもが5、6人いるのはあたりまえ。育児はもちろん、毎日朝昼晩、家族分の食事を用意する。これはもう至難の業です。ところが実際、どこの主婦でもそれをこなすことができた。なぜでしょうか。その秘密は、「常備食」にあったのです。漬け物や海苔、梅干しといった日本の伝統的な常備食。このストックさえあれば、じつは食事の準備はそれほどたいへんではなくなります。ごはんとみそ汁だけつくっておけば、あとは常備食をテーブルに並べるだけで立派な食事になる。日本食といえば、「里芋の煮物」や「鮭の塩焼き」などが思い浮かびますが、これらはあくまで付属品。土台となるのは「ごはん」と「みそ汁」、そして「常備食」です。常備食の利用法は、昔もいまも変わりません。とくに忙しくはたらく女性にとって、常備食はとても便利なものです。最低、2種類の漬け物をそろえる。たくあん、野沢菜、しば漬け、なんでもいいです。毎日食べるのだから、できれば添加物の少ないものが良いでしょう。2種類の漬け物を小鉢に入れ、さらに梅干しや煮豆、海苔、小魚の佃煮と他の常備食を合わせれば、これだけでおかずが十分にそろう。もの足りないならば、ときどき魚を焼いたり、刺身をワンパック買っても良いでしょう。料理をつくることが好きな人ならば、毎日つくるのも苦ではありません。ですが、そうではない人にとって、「今日は何をつくろうかな」と考えること自体が頭痛の種です。はたらく女性にとっても、これがなかなかつらい。そこで、料理を「まっ白な画用紙にメニューを描く」という作業ではなく、「すでに描かれたメニューを組み合わせる」という方法に変えればいい。品質の良い常備食をいくつか用意しておき、いざ食べる際にそれらを組み合わせればいいのです。夕食が遅くなる人は、常備食をごはんにのせたお茶漬けなどで軽くすませれば、次の朝、胃がもたれるようなこともありません。結局、日常的につくるものは、ごはんとみそ汁だけ。朝、用意するのはたいへんですから、夜にまとめて多めにつくっておけば良いでしょう。昔ながらの方法、常備食を利用することによって、健康的な食事を毎日食べることができる。しかも、どんなに忙しい人でも100パーセント継続することができるでしょう。常備食は、基本的に「長持ちさせること」を優先した食品です。そのため、塩やしょうゆで味を濃くしてあるものも多い。そこで、塩分の取り過ぎを気にする人もいるかもしれませんが、常備食は一度にたくさん食べられません。なので、塩分が多少高くても大きな問題にならない。むしろ、「ごはんを定着させる」「おかずとして簡単に用意できる」などのメリットのほうが大きい。添加物もそれほど入っていないので、安全性にも優れた食品なのです。 -
「何を食べないほうがいいのか」を考える
いったん大きな病気を患うと、どんな人でも食事に気を配るようになる。たとえば、「食品添加物」を過度に気にする方もいます。たしかに、食品添加物については、一度大病を患った人ならば、誰もが不安を感じています。農薬、食品添加物、遺伝子組み換え食品、有機塩素化合物……。問題は本当にたくさん。ですが、こうした有害物質を完全に排除した食事をしようとするのは、きわめて困難です。どこかで折り合いをつけなければ、生活していけません。そこで毎日、口にする食品を優先して安全性の高いものにすれば良い。みそやしょうゆ、塩などの調味料。毎日、調理に使うものだから、良いものをそろえたいところです。あとは、余力があれば自然食品店を利用すれば良いでしょう。なかには、添加物どころか「いったい、わたしは何を食べたらいいのか」と悩む人もいます。そんな人たちは、果物が良い、ヨーグルトが良い、生野菜が良いなどという情報を、さまざまなメディアから仕入れては実践します。ところが結局、食品をとっかえひっかえするだけで、なんの効果も得られない。健康を意識したがために、かえっておかしな食生活に陥ってしまう場合が多い。そういう女性に対して、わたしは「何を食べたらいいのか」という発想をやめてください、と提案します。食事について悩むのであれば、「何を食べたらいいのか」ではなく、「何を食べないほうがいいのか」ということを考えてほしい。いかにマイナスを少なくするか、これがカギになります。何を「マイナス」というかは、読者の方ならもうおわかりでしょう。あえて、「何を食べたらいいのか」をいうならば、あれこれ悩むことなく、ただ伝統的な日本食にすればいい。これに尽きます。