目次
- ◯「キレイな部屋でのんびりコーヒーが飲みたい」では片づかない
- ◯自分自身に「なぜ」を繰り返せば、モノへの価値観が見えてくる
- ◯家族の価値観を知ることで、片づけは10倍スムーズになる
- ◯モノへの価値観が明確になる「なぜなぜ分析」ワーク
-
「キレイな部屋でのんびりコーヒーが飲みたい」では片づかない
私に片づけの依頼をくださる方には、必ず「何のために片づけるのか」を確認させていただくのですが、多いのが次のようなパターンです。私 家が片づいたら、Aさんはどの場所で何をしたいですか?
お客様 そうですね……まずはスッキリした部屋にしたいです。
私 なるほど。ちなみに、どんなお部屋をイメージされていますか?
お客様 えっ……と、モデルルームみたいな部屋、ですかね。
私 モデルルームのような部屋、ですか。
お客様 はい。日用品とかを全部隠したいです。
私 なぜ、隠す収納にしたいと思ったんですか?
お客様 う~ん、雑誌に載っている部屋みたいでカッコいいから……ですかね。
私 では、そのスッキリした部屋で何がしたいですか?
お客様 ソファでコーヒーを飲みながら雑誌を読みたいですね~。
私 なるほど。コーヒーがお好きなんですか?
お客様 いや……そんなに好きってわけじゃないですけど。
私 その時にどんな雑誌を読みたいですか?
お客様 えっ……と、ちょっと思いつかないですねぇ。
ここで一度、考えてみてください。あなたは、モデルルームのような部屋で本当に暮らしたいですか?あなたは本当に「綺麗な部屋でコーヒー片手に雑誌を読む」という目標のために、最後まで片づけを頑張れますか?モノひとつひとつと向き合うのは、正直かなり疲れる作業です。気力と体力の両方を使います。本当に、最後までやる気を継続できますか?もうおわかりですね。片づけ下手な人は、「何のために(どんな暮らしをするために)片づけるのか」、つまり片づける理由があいまいなのです。あいまいなまま進めるからモチベーションが長続きせず、モノを捨てる基準がわからなくなり、捨てすぎてしまう(暴走してしまう)のです。私たち夫婦も、その基準がわからないまま捨てることに夢中になり、挙句の果てにはすさんだ生活になってしまいました。逆に考えれば「『何のために片づけるのか』が明確になれば、9割片づいたのと同じ」なのです。できれば、片づけには毎回「わくわくする目標=ゴール」を設定し、そのゴールに向かって片づけを始めたいもの。その時に「やりたいこと」を間違って決めてしまわないように、あなた(と家族)のモノに対する価値観をはっきりさせる必要があるというわけです。 -
自分自身に「なぜ」を繰り返せば、モノへの価値観が見えてくる
自分(と家族)が人生で一番大切にしたいことって、何だろう?
自分(と家族)の暮らしに本当に必要なモノって、何だろう?
自分(と家族)は片づいた家で、どうしたいんだろう?
「何のために片づけるのか」の答えを導き出すためには、自分の潜在意識下にある価値観を「見える化」する必要があります。でも、日ごろからよほど内省的な人でない限り、いきなり「あなたのモノに対する価値観は?」と聞かれて、即答できる人は少ないでしょう。私たち夫婦も、自分たちが日々何に価値を置いて暮らしているのか、なかなか見えてきませんでした。でも、今日の何気ない日々も、私たちが価値を感じて選択してきた結果。お互いの子どもの頃の思い出に始まり、学生時代に熱中したこと、友達や恋人のタイプ、さらには、就職や結婚など、人生の大切な岐路で何を思って1つの道を選んだのか? ということをじっくり話し合ったのです。その時間、100時間以上! 膨大な時間をかけて私たち自身を振り返ったところ、お互いの価値観が徐々にはっきりしてきました。私が人生で大切にしているのは、「合理性」と「物事を前進させること」。夫が人生で大切にしているのは、「安心感」と「人に何かを教えること」。 -
家族の価値観を知ることで、片づけは10倍スムーズになる
お互いが人生で大切にしていることが明確になると、意見が食い違った時に以前なら「どうしてそんなこと言うの?」と思っていたことも、不思議と少しずつ受け入れられるようになっていきました。例えば私たちの場合、路線検索する時に、私…スムーズな乗り換えで、一番早く着くルートを選ぶ
夫…時間に余裕を持って、一番安全なルートを選ぶ
これも、お互いの価値観を知っていれば「そうか」となりますよね。よく、結婚した友人から「あんな人だと思わなかった」というセリフを耳にしますが、お互いの価値観をきちんとシェアできていないことが一番の原因だと私は思います。いくらふだん会話があるといっても、日常会話と、お互いの価値観をさらけ出す会話ではまったく違うはず。私たち夫婦も、毎晩のように「お互いの価値観探しトーク」をするようになってから、本当の意味でお互いを理解できるようになったと感じています。 -
モノへの価値観が明確になる「なぜなぜ分析」ワーク
私たち夫婦はこの「なぜなぜ分析」を生活に応用することで、「自分の価値観」に結びつけることができました。そして、分析を始めやすいように、問い(問題)を4つに絞りました。これは、私たち夫婦が実際に使って効果的だった問いベスト4です。❶位 お金・健康・家族以外で、あなたにとって大切なモノは?
❷位 自分ってこんなところが長所だな、と思うことは?
❸位 幼い頃から時間を忘れるほど夢中になってしまうことは?
❹位 憧れの人・有名人は誰? その人のどういうところに憧れる?
それぞれの設問に対して、「なぜそう思うのか」を5回繰り返し、たどり着いたキーワードがあなたの価値観になります。いかがですか? 実際にやってみるとわかりますが、就職・結婚・新居選びなど、自分の人生の岐路に立った時、その価値観を軸にして進む道を選んできた自分がいるはずです。
トヨタ式おうち片づけ
PART 2 「なぜなぜ分析」でモノに対する自分の価値観を知るより
厚生労働省によると、働く女性は2013年時点で2804万人。そのうち96%が仕事と家事の両立で悩んでいます。そこで、トヨタグループの世界1No.1カーナビ企業「アイシンAW」で大活躍した著者が「やりすぎミニマリスト」時代の失敗経験を研究して身につけた、モノがリバウンドせずに家事を二時間時短でき、心まで豊かになれる「トヨタ式お片づけメソッド」を初公開します。