目次
- ○嫉妬して張り合ってくる「女」
- ○分析 選ばれたい気持ちをどうするか
- ○STEP1 巻き込まれない
- ○STEP2 自分を守る
- ○STEP3 「女」を癒す
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嫉妬して張り合ってくる「女」
AさんのケースBは会社の同僚。なぜか私にライバル心をもち、何かと対抗してくる。仕事でちょっとだけ私の方がいいポジションに立っていて、よく思われていない。私に対する態度が挑戦的で、迷惑している。挑発にはのらないように受け流しているがもう限界!仕事以外のこと、ファッションや、恋愛、何もかも比べてくるからいやになってしまう。 -
分析 選ばれたい気持ちをどうするか
これはまさに「選ばれる性」としての「女」の症状。Aさんの方がよいポジションに立っているということは、同僚は「そのポジションに選ばれなかった」ということ。これは「選ばれる性」としての「女」にとっては傷つくことですから、当然嫉妬し、足を引っ張ってきます。「本当は、選ばれるべきだったのは私の方なのよ」というのが、Bさんが言いたいことなのでしょう。だから、何でもかんでも比較して、少しでも「本当は……」ということを主張したいのです。そして、あわよくば、相手よりも上に立って、自分の「選ばれたい気持ち」を満たしたいのです。 -
STEP1 巻き込まれない
「女」に巻き込まれないためには、「女」に対する見方をきちんと定めることが第一歩となります。「女」とは、「癒やされていない心」だということを見てきましたが、この同僚の言動も、それがどれほど上から目線に見えようと、「癒やされていない、気の毒な心」そのものなのです。「選ばれる性」としての「女」は、目につく点で相手に勝っていないと気がすみません。この同僚に起こっていることも、まさにそういう性質のことだと言えます。何であれ、勝っていないと気になるのです。癒やされていない心は、そういう表面的な「勝ち負け」に非常にこだわります。「もうこれ以上負けるわけにはいかない」というピリピリした緊張感がそこにはあります。もちろん、その「勝ち」には満ち足りた喜びなどありません。「勝った!」と思っても、次の瞬間には別の「負けている」ところが目についたり、今度は自分が足をすくわれるのではないかと疑心暗鬼になったり、という具合に、「選ばれる性」としての「勝ち負け」には、本当の意味での「勝ち」などないのです。ですから、彼女の態度を「Aさんに」挑戦してきていると見るのではなく、「彼女の」癒やされていない心として見てあげるのが適切でしょう。少しでも優位に立っていないと「自分は選ばれない存在になってしまう」「自分は価値が低い女になってしまう」ことが不安、という彼女の気持ちを考えれば、それはとてもストレスフルな生き方だということが想像できると思います。「自分がよく思われていない」「自分が挑戦された」と思うと「自分の話」になってしまい、どんどん彼女に巻き込まれてしまいます。でも、「ストレスフルな人生を生きている、かわいそうな人なんだな」「いつもピリピリして、自分が負けているところがないか確認しないと気がすまないんだな」という目を持って、「彼女の話」として受け流していくのが、巻き込まれないためには重要です。これが、起こっていることを単なる「『女』のパターン」と見る、ということです。「受け流しているがもう限界!」ということですが、どういう姿勢で受け流すかによって、そのストレス度も違ってきます。「挑発されている」と受けとめつつ受け流すのであればそれは「忍耐」「我慢」ということになりますが、単に不安でたまらない彼女が不適切な態度を取っているというふうに見れば、「そうか、そんなに不安なんだな」と「見逃してあげる」という余裕のある選択ができるはずです。「そんなにいつもピリピリしていなくても、もっとゆったり暮らして大丈夫なのに」と、余裕のある態度で接することができるでしょう。こちらは「負けるが勝ち」くらいのゆったりした心境でいればよいと思います。呪文のように唱えるのは、「これは彼女の心の傷の話。私についての話ではない」ということです。 -
STEP2 自分を守る
自分と彼女の関係だけであれば、ステップ1の「巻き込まれない」だけで十分です。しかし、彼女のようなタイプは、時に周りを巻き込んでこちらを不利な立場に追い込んでくることもあります。「Aさんは自分の方がちょっとできると思って……」と、陰口をきく可能性があるのです。毎日働く職場ですから、そのような事態は避けたいもの。巻き込まれないようにすることによって彼女への刺激を避けていけば、不利な事態も予防する効果がありますが、周りに対しても自分を守るためのことをしておきたいものですね。その一つは、「彼女の悪口を言わない」ということです。これはまさに自分が「女」にならないことそのもの。正論じみた陰口は、いかにも「女」の専売特許ですが、「女」になってしまうと、他の「女」たちから反感を買いますし、男性からも「これだから女は……」と疎まれます。自分にとってよい状況が作られなくなってしまうのです。もう一つは、彼女以外の人たちとの間の信頼関係を日頃から築いておくこと。きちんと挨拶をしたり、頼まれごとに誠意をもって応えたり、あらゆる人にフェアに接したり、物事に対して感情的に反応するのではなく客観的に見るようにすること。つまり、「女」度を下げておくのです。そうすれば、もしも彼女が周りを巻き込んでこちらを不利な立場に陥れようとしても、どこかでブレーキがかかるはずです。「女」度の低い人は、誰からも好かれやすいからです。それでも彼女と一緒になって嫌なことをしてくる人たちがいるようであれば、その人もかなりの「女」。単に「女」の数が増えたと思って、同じように扱っていけばよいでしょう。 -
STEP3 「女」を癒やす
余裕があれば、彼女との関係性にも手をつけることが可能です。それは、傷ついて不安になっている彼女を癒やしていくという方向です。「ただでさえ面倒な彼女に、そんなことまでしてあげる必要はない」と思うのであれば、もちろんしなくて結構です。でも彼女がこれからもずっと一緒に働いていく相手なのであれば、その関係性は少しでも改善された方が楽でしょう。不安な人に必要なものは、安心。日頃から一貫した温かい姿勢で接する、一人の人格として尊重する、彼女の中で敬意を持てるところがあれば敬意を表してあげるなど、「あなたという存在を尊重している」という気づかいを示していけば、彼女はだんだんと安心していくでしょう。女性は、一人の人格として誠実に尊重されると、「女」度が下がるのです。いつも選ばれようとして虎視眈々としていなくても、「仮に選ばれなくても価値が揺るがない、尊重に値する人格として扱われている」という安心を感じ取れるからです。これは女性全般に言えることで、その人を一人の人格として尊重し、心からの思いやりや感謝を表現していくと、「女」が癒えて、「女」度が下がってくるものです。よく、口のうまい男性が職場の女性に「その服センスがいいね」「今日はいつにも増してすてきだね」などと歯が浮くようなことを言っていますが、「女」は結局喜んでしまうことが多いものですよね。これも、自分という存在が尊重されるからだと言えます。わざわざ自分のことを見てくれて、わざわざコメントしてくれる、というのは、自分という存在をないがしろにしていたらあり得ないことだからです。自分の方がこんなに上、ということをことさらに示してくる同僚を受け流す際にもAさんは「へえ、すごいね」などと適当に言っているでしょうが、そこに温かい心を込めてみるのもよいと思います。彼女の話を「頑張っているんだなあ。本当はそんなこと気にしなくていいのに、一生懸命なんだなあ。それほど頑張らないと存在をないがしろにされると思っているなんてかわいそうだなあ」「私にはわからないサバイバル人生を歩んでいるんだなあ。苦労が多いだろうなあ」と思いながらじっくりと聞き、「本当にすごいんだね」と、心を込めて温かく言ってみると、「どちらが上か」ではなく、彼女は自分自身が受け入れられたと感じ、だんだんと癒やされていくと思います。そして、長い時間の中では、彼女から「安心できる人」と思われるようになっていくでしょう。彼女自身の癒やしがどこまで進むかは彼女の問題ですが、Aさんとの関係性はかなり癒やされたものになっていくはずです。「女」は「形ばかりのつながり」を求める、ということについては後述しますが、心から安心できる人だという感覚がつかめてくると、それは「形ばかりのつながり」とは全く異なるつながり感を作っていくものです。こういう関係を相手と持っていければ、「もう限界!」と思っているよりも、Aさん自身にとっても癒やしになると思います。相手の「女」が癒えるときは、自分の「女」も癒えるとき。すがすがしく、温かい瞬間が増えてくると思いますよ。
女子の人間関係
CHAPER2 比べたがる「女」との関わり方より
グループ、派閥、噂話、嫉妬など女性特有の人間関係の悩みを持つ方に対人関係療法の専門医水島広子氏がその原因を解析&ステップを踏んで丁寧に解決方法を教えます。女性だけでなく、女性の部下、上司、恋人、妻を持つ男性も役に立つ内容です。