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相談してくるのにアドバイスをすると反論する人の心理

女性には悩みを打ち明けあうことによってつながる、という側面を持っています。しかし、一生懸命聞いてアドバイスしても反論されてしまうケースも多々あります。また、話を聞かされるだけではなく、こちらの悩みを聞き出そうとしてくるパターンも少なくないのが、女性特有のコミュニケーションと言えるかもしれません。
でも、あまり自分の話はしたくないという女性も多いですよね。悩みの共有がなくても女同士の心のつながりを感じられる方法をご紹介します。

水島 広子(こころの健康クリニック院長 精神科医)

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目次

  1. ○悩みやグチを言われるのが苦手
  2. ○分析 悩み相談をめぐる心の動き
  3. ○STEP1 巻き込まれない
  4. ○STEP2 自分を守る
  5. ○STEP3 「女」を癒す
     
    • 悩みやグチを言われるのが苦手

      Cさんのケース
      悩みやグチを相談されることが多いです。その人のためと思って一生懸命きいてアドバイスするのですが、すると「わかってない」とか「そうじゃなくて」と反論されてしまいます。だったら、相談しなきゃいいのにと思います。
      またこちらも同じような悩みやグチはないのかと、悩みを話すことを強制されていると感じることも……。悩みを共有しないと友達でいられないのでしょうか?
      アドバイスは要注意
      これは「女」に限ったことではなく人間関係全般に言えることなのですが、人から悩みを聞かされてアドバイスしても、うまくいかない場合が多いものです。
      一般に、「悩みを相談したい」と言って話し始める人の場合、「問題を解決してほしい」と思って話す人よりも、「自分の話を聞いてほしい」「自分の気持ちをわかってほしい」と思って話す人の方が多いでしょう。
      ですから、アドバイスしてしまうと、「じっくり聞いてくれない」「自分の気持ちをわかってくれない」と感じてしまうのです。
      また、アドバイスには常に「そんなところで悩んでいないでこうした方がいいんじゃない?」と、悩んでいる相手の現在を否定するニュアンスがありますから、自動的に反発を招くこともあります。「そんなことはとっくにわかっている」「そうできるならとっくにそうしている」「あなたはよくわかっていないからそんなふうに気軽に言えるのだ」というのがよく見られる反応です。ですから、Cさんが一生懸命アドバイスするのに反論されてしまうのも、仕方がないと言えば仕方ないのです。
      実は、多くの人が、話を聞いてもらうだけで気がすんでいきます。自分の悩みを口に出して、相手にそのありのままを受け入れてもらうだけで、気持ちが整理され、前進していくことができるからです。問題をこちらが解決してあげる必要がある場合はむしろ少ないと言えるでしょう。
      ここまでは、「女」とは関係なく、女性だろうと男性だろうとあらゆる人に関連する話です。人の話にやたらとアドバイスすることは、相手の領域侵害になりますから、そういう意味でも注意が必要です。
      しかし、「女」となると、プラスアルファの問題が起こってきます。
    • 分析 悩み相談をめぐる心の動き

      Cさんが言っているように、「女」は悩みを打ち明け合うことによってつながる、というような側面を持っています。悩みを打ち明け合うことによってつながろうとする現象は、「形ばかりのつながり」を作るためにも、また、「敵」「味方」をはっきりさせるためにも、「選ばれる性」として安心するためにも、生じます。
      他人が「演じる」ことに敏感な女性は(そして実際に「演じる」女性は多いので)、相手が自分に本音を打ち明けているということがわからないと、信用できないと思うのです。また、相手が自分と同じくらい(あるいはそれ以上)不幸でないと落ち着かない、というところもあります。相手が悩みを話したときに、「わかる、わかる」と、自分も同じようなタイプの悩みを話すと親しさが増す、というのは、「自分の気持ちをわかってくれた」と感じるからでもあり、同時に、「相手も自分と同等のことで悩んでいる」と、「比べる心」が安心するからでもあります。
      他の人には悩みを話していたのに自分には話してもらえなかった、という落ち込みも、男性よりも女性からよく聞きます。男性の場合は「自分には向かないテーマだっただけでは」とあまり気にしないようですが、女性の場合、「自分が相手にとって重要な存在だと思われなかった」という形で受け取り落ち込むことが多いのです。「悩みを相談する=重要な存在だと認める」という認識があるのだと思います。
      しかし、相手にも悩みを話すように強要したり、同じようなことで悩んでいるはずだと決めつけたりするのは、やはり余計なお世話であり、「女」の問題、ということになってきます。
    • STEP1 巻き込まれない

      友達同士、本音を打ち明け合ってありのままを受け入れ合うというのはとてもすてきなことです。
      でも、「どこまで話すか」「何を話すか」「いつ話すか」は自分で決めてよいこと
      相手が話したいときには聞くし、自分が話したいときに話せばそれでよいはずです。
      悩みを打ち明けるように強要したり、「あなたにもきっと同じような悩みがあるはず」と決めつけたりすることは、相手の領域を侵害することになります。
      そこに巻き込まれないようにするということは、領域を侵害されないようにするということ。
      話したくないのなら話さなくてよいのです。ただ話さなくてもよいし、「ちょっと変わった人」になって、「ほら、私そういう話苦手だから」と言ってもよいでしょう。
      それで友達でいられない人は、「女」度が相当高いのだと考えられます。そうであれば、「女」度の低い友達を増やしていきましょう。「女」度が高い人に囲まれていると、いろいろと大変な人生になってしまうからです。
      実は、人間関係を自分中心に考えていくというのも、「女」から解放されるために必要なことです。「どうすれば好かれるか」ではなく「自分はどうしたいか」が「女」から脱するポイント。ですから、「今身の回りにいる『友達』から好かれるにはどうしたらよいか」という視点ではなく、「自分が友達として親しくしたいのはどういう人たちか」を考えればよいのです。上司や同僚とは異なり、プライベートな友達こそ、自分が親しくしたい人たちばかりで固めることができます。「形ばかりのつながり」ではない、本当のつながりを持てるのは素晴らしいことです。
    • STEP2 自分を守る

      話したくないときに話す必要はない、という態度を貫いていくと、「お高くとまっている」「自分だけが特別だと思っている」「私たちのことを馬鹿にしている」などと思われて「女」たちの攻撃の対象となるリスクがあります。ですから、自分を守るためには、「話したくないときは話さない」というところは変えずに、「愛想をよくする」ということも必要です。
      つまり、自分は自分のスタイルとしてそうしているだけであって、「女」たちを下に見ているわけではない、ということをアピールする、ということです。
      これは「女」と関わっていく上で常に持つ必要がある姿勢です。「女」は癒やされていない存在であるわけですから、下に見るようなことをしてしまうと、さらに傷つけてしまうだけになります。
      なぜ「女」になってしまったのか、という背景については第1章でお話ししましたが、そのような理解に基づいて目の前の「女」を見れば、それは単なる「嫌な女」ではなく、「いろいろな傷を負っている、かわいそうな人」ということになります。ですから、下に見る必要はなく、単に「癒やしが必要な人」と見ればよいのです。
      癒やしが必要な人に対しては、「私はあなたを脅かす存在ではない」ということを示すことが何よりです。ですから、他の人が悩みを話しているときに自分だけ話さない、という状況が生じるのであれば、特に熱心に共感を込めて人の話を聞くようにするとよいでしょう。
      「あなたも悩みを話して」と言われたら、「話をするのは苦手。でも聞いていると悩みも似ていて、自分が癒やされる感じがする」と真剣に相手の話を聞けば、相手は自分という存在が軽視されたわけではないとわかるので、問題は少なくなるはずです。
    • STEP3 「女」を癒やす

      「形ばかりのつながり」を求める「女」は、相手の話を聞いたときに、似たような「ネタ」を提供して盛り上がる傾向がありますが、「女」を癒やすためには、「ネタ」ではなく、「相手の話」として尊重するようにしましょう。これは、「同じようなことで悩んでいる」という「女」ならではの「形ばかりのつながり」ではなく、真の「人間同士のつながり」を作ります。
      「自分にも似た体験がある」「自分の場合はああだった」と、自分のデータベースの中を探すのではなく、相手の話だけに集中してみましょう。「どうしてこの人はこんなふうに考えるのだろう?」などと何らかの思考が浮かんできたら、それをとりあえず脇に置いて、相手の話に集中し直してみましょう。相手の話を、まさにありのままに聞くのです。
      そのような聞き方は、自分も相手も癒やしていきます。そしてそうやってじっくりと話を聞いてもらうと、相手が同じような悩みを打ち明けなくても心のつながりを感じます。「悩んでいる」というレベルでつながるのではなく、「心を持っている」というレベルでつながることができるのです。それこそ、「女」同士の「形ばかりのつながり」ではなく、心からの人間同士のつながりを作っていきます。

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