目次
- ○役割を押しつけられると辛くなる
- ○ありのままに働ける場を探す
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役割を押しつけられると辛くなる
会社そのものも、原始時代の群れとは少し違った作られ方をしています。あまり違わないのは、会社のサイズ。人間が過去何万年かで経験してきた群れのサイズと比べてあまり違和感はないでしょう。原始時代は、人間の群れというと数十人規模のイメージですが、今でも、会社の中で自分が関わる課であれば数人から十人程度、部であれば十数人から数十人程度です。ただ、その集団の中で立ち位置とか座り位置がどう決まってくるかが、昔と今で大きく違うのです。原始時代の狩りの話をしましたが、その中でのメンバーの役割は、群れの構成員それぞれが自分の得意なことをやっていった結果として生まれたものでした。狩りだったら、槍の名手や、力持ちで獲物を運ぶ運搬係もいたでしょう、後ろからついていくだけの雑用係や、指さし図ず 役も出てきたことでしょう。このように、必要に迫られた自然発生的な役割分担だったため、特に誰かが強い不満を抱えることなくやってこられました。しかし現在の会社ではビジョンやミッションが先にあって、人々はそれを達成するための役割を人工的にあてがわれています。できるだけ適材適所でやろうとしているのですが、自然発生的な役割分担に比べると随分違うし無理が生じます。「なんでこんなことやらされるんだろう」「この仕事は自分に向いていない」と感じることがあるのは、そのせいです。はたしてその無理が許容できる範囲かどうか、自分の体が変調をきたさないかどうかが重要で、もし、あまり問題なく生きていけるのだったら、ちょっとくらい我慢して働きましょう。「愉快なやつ」も立派な役割POINT
原始時代のチームは各々が身体的に向いていることを自然にやっていた。
ときには、ただ面白いやつ、ただついてくるやつがいたかもしれない。
自分が自然に能力を発揮できる環境が、疲れずに働ける場所。
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ありのままに働ける場を探す
自分が担当している仕事で、「どうも疲れる」「この仕事は向いていないんじゃないか」と思ったら、まずは周りの人や上司に相談してみるのがいいと思います。もしかしたら、向いている、向いていないの話だけではなく、もう少し経験を積んだらできるというだけの話かもしれません。あるいは、自分で自分のことを完全に見極めできない部分もあるでしょう。逆に本当に、「はっきりこれは自分に向いてない」と確信しているのであれば、それも素直に言えばいいと思います。そこで「君の要望は今も未来も叶えられない」となるのであれば、その会社にはいないほうがいいでしょう。身体が疲れている状況にある。そんなときにそれを表明できるのは、やはり脳しかないのです。困ったことがあったときに、それをすぐに表明できる脳を作るのも生きていく上で肝心です。とにかく何でも言ったほうがいいのです。そうすることで周りにも考えてもらえますし、何より周りに相談して初めて、自分で自分の身体や心について考えることができます。ただ、それで「じゃあ、キミには何が向いているんだ?」と問われたときに、答えられるようにしておくのも重要です。自分のランドスケープを把握しておかないと、何も言えません。「なぜ今の仕事が向いてないと言えるのか」と問われ、答えに窮してしまいます。
考えすぎる脳、楽をしたい遺伝子
第4章 群れの中で疲れずに働くより
現代人は、脳ばかりが暴走して、身体の限界を超えることをやってしまうバグを抱えているのです。本書では、「科学界のインディー・ジョーンズ」が、過酷な探検と研究のなかで見つけた、『ストレスなく、悩まずに生きる方法』を紹介します。