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都会から地方への移住を希望する人が増えているワケ
地方で生まれ育ち、大学進学や就職を機に都会に出てくる人は多いですが、実は最近は都会から地方への移住を実現・検討している人が増えており、10・20代の若者に限定すれば半数近くが希望しているという調査結果が出ています。人々はなぜ地方への移住を考え始めるのでしょう。都会からの移住を考える理由を伊佐知美著『移住女子』(新潮社刊)からご紹介します。
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目次
- ○なぜ都会から地方へ移住をしたいのか
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なぜ都会から地方へ移住をしたいのか
(C)Wasei/タクロコマ(小松﨑拓郎)「地方創生」が話題となる昨今、実際の移住者の数はどうなのか。移住する人は年々増えている。しかも、「東京在住者の今後の移住に関する意向調査」(内閣官房2014年)によると、東京在住者の約4割が、「移住する予定、または移住を検討したいと思っている」という。10代・20代に絞ってみると、割合が上がり、男女ともほぼ半数近くになる。男性では50代で5割を超えるが、女性では、年代が上がるにつれて、希望割合は少なくなる。実は東京に住む多くの人が、移住に興味を持っていて、特に若い女性の割合が多いということだ。なぜそんなにみんなが移住に興味を持っているのだろう。まず、生活コストが概ね下がることが挙げられる。例えば、東京23区内であれば1LDKのマンションを借りて月12万円程度(場所にもよるが)する家賃が、地方に行くと一軒家貸し切りで3万円なんてことはザラだ。しかも駐車場や庭付きで。そんな話をすると、「駐車場に3万円払っている今の生活って一体……」と東京などの都会に住む人には驚かれる。それだけではない。「移住したらめっきり野菜を買わなくなった」という声も多い。自給自足とまでいかなくても、家庭菜園で野菜を得たり、自生しているものを採取することができたり、「おすそ分け」の文化が残っていたりすることもあるからだ。「おすそ分け」などと聞くとささやかなイメージかもしれないが、とんでもない! 野菜のほかにも色々だ。猟が盛んな地域ならイノシシ肉やシカ肉などのジビエ肉が、漁業が盛んな地域ならアワビやサザエが、お茶栽培が盛んな地域なら摘みたてのお茶が……というように、地域によってバラつきはあるものの、「おすそ分け」は日本全国広く残っている文化のようだ。多くの移住者たちがその恩恵を受けている。食費はほとんどかからないなんて豪語する移住女子もいるくらいだ。余談だが、実際に私も取材で行った地域で、野菜、大豆、米、自家製味噌や醤油などをいただくことが少なくない。さすがに「ほうれん草を株ごとどうか」と言われた時は、持ち帰るのに困ったのでお断りさせてもらったが。そのほかにも、前出の調査では「出身地だから」「スローライフを実現したいから」「都会では家を購入しづらいから」「子育てがしやすい環境だから」などという理由を挙げる人が多かった。そういった実質的な価値はもちろんだが、実はもっと大きな価値があるのだ。おそらく移住する人、移住を希望する人は、潜在的にそこに惹かれているのではないか、とも思う。