目次
- ○いらないものを追い出すからだの仕組み
- ○善玉菌で腸を元気にする
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いらないものを追い出すからだの仕組み
栄養学の考え方では、口から肛門という消化器官はからだの外で、消化器官から食べ物や飲み物が吸収されてはじめて体内に入るとしています。ほどんどの栄養素や成分は小腸から吸収されるため、腸内環境がよくなければ健康は維持できないので、とても大事なこととされています。そもそもからだに害を与えるようなものは、味覚や嗅覚で「腐敗している」と感じれば、一度口に入れたとしても吐き出します。「腐敗」のように物性がもともとのものと違っていたり、変なにおいがするなど五感でわかるものであればよいのでしょう。しかし、見た目ではわからなかったり、異臭もないような、細菌性やウイルス性の食中毒では、食べて具合が悪くなるまでわかりません。有名なノロウイルスは二枚貝由来の食中毒ですが、「今から食べようとしているこの貝は、ノロウイルスに汚染している」などとわかる人は誰もいません。細菌性でもウイルス性でも、食べて発症してみてはじめて食中毒とわかるのです。食中毒にかかるとまず気持ち悪くなり、吐き気をもよおし嘔吐したり、お腹が痛くなって下痢をしたりします。この症状はからだの中から食中毒菌を外に出すために起こる反応です。なるべく早く体外に出すために、水溶化した便にするというからだの防御反応なのです。このように、腸はからだの中に悪いものを入れない関所のような役割をしているのです。脳が劣っているとは言いませんが、腸の状態がからだづくりに大きく関わっていることは事実です。 -
善玉菌で腸を元気にする
では、どうすれば腸内環境をよくすることができるのでしょうか?私たちの腸の中には大きく分けて善玉菌と悪玉菌、日和見菌という3つの腸内細菌が存在します。この細菌の勢力争いで、私たちのお腹の具合が変わります。気持ちいい排泄があるときは善玉菌が優勢なときで、あまりスッキリしない排泄のときは悪玉菌が優位なときです。その善玉菌を優位する食材は何かというと、発酵食品や食物繊維を含む食材なのです。発酵食品の中でも、乳酸発酵したヨーグルトや漬け物などは効果的とされています。ヨーグルトであれば1日250g 程度とるのがよいとされています。バナナやはちみつに含まれているオリゴ糖は善玉菌の好物ですから、それらをヨーグルトに入れて食べることは食味だけでなく、健康という視点からも相性のいい組み合わせと言えるのです。市販されているヨーグルトは、それぞれ種となる菌の種類が違います。私たちのからだが持つ細胞はみんな違いますから、どの菌が誰に合うかはわかりません。自分の中にいる善玉菌が喜ぶ菌を含むヨーグルトを選んで食べましょう。ヨーグルトだけでなく、いろいろな発酵食品や食物繊維を含む食べ物を毎回の食事に少量でも構わないので、意識して取り入れましょう。腸内細菌は腸の中にとどまることができないので、食事からとらないとどんどん善玉菌が減っていってしまいます。このように、腸は生き物にとっては栄養素を取り込む入り口になります。ですから、生命活動を続けるものには腸がないと成立しないのです。
『脳はバカ、腸はかしこい』という印象深いタイトルの本を書かれた藤田紘一郎先生はたいへん面白い方で、ご自身の腸のなかにサナダムシを飼っておられました。
一度仕事でご一緒させていただいたのですが、とても豊富な知識をお持ちのうえ、楽しい発想で免疫力に関してご研究をされていました。「人間の免疫力の80%は腸が司る」とされ、腸内環境と健康がダイレクトにつながっているとお話しされています。
若返り食生活
第3章 からだまるごと若くなる!より
30代からだんだんと衰えていくからだ。そんなからだの中から健康に、見た目もキレイになるために必要な食材・栄養素・調理法・時間など食事のすべてを網羅したのが本書。