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社会人なら知っておきたい!ビジネスメールの常識

ビジネスシーンでのコミュニケーションツールといえば、現在メールが主流となっています。しかし、そうなったのはあくまで21世紀に入ってからであり、まだまだ歴史が浅いものであり、メールのルールやマナーは未だ完全に確立されたものではありません。そのため、失敗も少なくないのだそうです。その失敗のリスクを最小限に抑えるために知っておきたいポイントをご紹介します。

山崎朋子

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目次

  1. ○メールはビジネスにおける最強のツールだけれど……
  2. ○「話し言葉調」のメールの落とし穴
  3. ○スマートに礼儀正しく、的を射た書き言葉を用いたい
     
    • メールはビジネスにおける最強のツールだけれど……

      メールは、最近の最強ビジネスツールと言えます。
      「最近の」とお断りしたのは、現在は当然のように皆が活用しているメールの歴史は、一般的なビジネスシーンに限って言えば、意外に浅いからです。

       

      私は1995年、転職して、ある企業の創業経営者の秘書になりました。その会社では各人にパソコンとメールアドレスが与えられており、社内向けにはメールを使えたのですが、当時は、社外との連絡はまだまだ電話が主流でした。
      創業経営者というのは絶大な存在感や影響力を有しているため、「直接お会いしてお話を……」と請う人が引きも切らない状態になります。仕事関係者はもちろん、仕事とは直接関係ないと思えるような政財界を含む組織や団体の方との面会調整が、私の秘書業務の中で主要な位置を占めていました。通話中であることを示す電話機の赤ランプが消えては点く、の繰り返しに業を煮やした役員が、電話応対に追われている私のもとにわざわざ足を運ぶほどだった多忙な日々が思い出されます。
      そんな状況が、メールの普及で一変しました。アポイントメントに関するすべてのやりとりをメールで行えるようになると、電話応対に費やす時間が激減し、業務効率が劇的に上がったのです。
      ただし、一気に改善できたわけではなく、どなたとでもメールで用件が済むようになったのは、21世紀に入ってしばらくしてからだと記憶しています。たとえばグループメールアドレスが大企業で多く見られましたが、機密性の高い内容や個人的にお伝えしたい内容は送れないため、電話するしかありません。また、個人のお客様や「士族」と呼ばれる弁護士や税理士などの専門職の方は、メールを使える環境でも仕事での使用を敬遠される傾向が見られました。

       

      こうした歴史の浅さゆえ、メールのルールやマナーはいまだ流動的で、そのためそこに起因する失敗も少なくないのです。
    • 「話し言葉調」のメールの落とし穴

      メールは本来、効率や利便性を追求するものです。そのため、紙の文書(レター)に見られる儀礼性に満ちた慣用表現は省き、社外宛てでも「話し言葉調」で簡潔に書くのがよいとされています。
      たとえば、レターの書き出しに記す頭語(「拝啓」「謹啓」等)は、メールには不要です。頭語に続く、「涼秋の候、貴社ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。」といったレター特有の時候や安否のあいさつも記しません。代わりに「いつもお世話になっております。」と、ビジネス会話でのあいさつに用いるワンフレーズで済ませます。格式ばった言葉を長々と連ねるのは、効率優先のメールにおいては逆効果なのです。
      このような性質上、メールは儀礼性の高い案件には適しません。社長就任あいさつや新社屋竣工記念式典の通知を、メールで済ませる会社はないでしょう。儀礼性の高いメッセージは、ビジネスでもプライベートでも、紙にしたためるのが一般常識であることは、ご存じのとおりです。

       

      しかし、「メールは効率重視のツールだからこそ、『話し言葉調』がスタンダードになっている」―そこに落とし穴があります。

       

      メールは「話し言葉調」で簡潔に書きましょう、とお伝えすると、話すときのように多少くだけた感じになってもかまわないのかと誤解する人もいますが、それは大きな間違いです。「話し言葉」と「話し言葉調」は、似て非なるものだと認識する必要があります。
      メールといえども、記録に残る文字にするからには、相手や用件に応じて礼を尽くすのは当然です。ビジネスシーンであればなおさらでしょう。
      その点を深く考えずにプライベートメールと同じ感覚で書いてしまうと、無礼な表現で相手の怒りを買う恐れがあります。
    • スマートに礼儀正しく、的を射た書き言葉を用いたい

      上司から受けた指示に対して、部下が口頭で「了解です」と返事をするのは許されたとしても、メールでの指示に「了解です」と返信すると、上司は漠然とした不快感を覚えるものです。当社の「メールの書き方とマナー」のセミナーでは、「こんなふうに感じる自分は心が狭いと思われるのが嫌で、指導できずにいる」といった悩みを吐露する方もいらっしゃいます。

       

      話し言葉だと何となく聞き流す表現でも、明文化されると、やけに気になるものです。この場合は、「承知しました」「承知いたしました」と返信するのが最適でしょう。
      「部下が上司に対して使うなら『承知しました』でしょうね。『了解』だと『わかった』という自分の理解を伝えるだけの意味に留まりますから、何となく対等な感じで失礼ですよね」と説明すると、皆さん、一様に納得します。
      「承知」の「承る」には、「謹んで受ける」「(目上の人の)命を受けてそのとおりにする」「拝聴する」(『広辞苑』より)というへりくだった意味があります。「了解」はフラットな関係で、「承知」は下から上への関係で使う―そんな、敬意の度合に差をつける使い分けが必要になってくるのです。

       

      顔が見えないメールでは、記した言葉のみで真意を伝えなくてはなりません。直接話すときのように笑顔やジェスチャー、声の調子に自分の思いを込めることはできないので、スマートに礼儀正しく、的を射た書き言葉を用いたいものです。
      自分の伝えたいことを言い立てるだけの幼稚な表現ではなく、大人ならではの考え抜かれた言葉をさりげなく盛り込む工夫が、仕事を円滑に進め、人間関係を豊かにする大きな要素になると言えないでしょうか。
      最低限の礼儀を踏まえてコミュニケーションをとる努力を怠ると、メールという便利なツールが、人間関係を壊してしまう凶器になることもあります。

       

      これは日常会話にも言えることです。一歩進んで、書くときに意識するのであれば、話すときも同様に、避けたほうが無難な表現は使わないほうがよいと思いませんか。会話でも、上司や先輩には「了解」でなく、「承知しました」「承知いたしました」「かしこまりました」と返事をするのが望ましいと言えるでしょう。

「大人ことば」で穏やかに話す

山崎朋子

日本法令

序 大人の言葉づかいが必要とされる時代より

企業や社会のコミュニティで、組織の一員として、自分と相手だけでなく、周りのすべての人たちと良い関係を築き、みんなが機嫌よく関わり合う―1万人の社会人を対象に研修や講演をおこなってきた人気講師にして、表千家教授者でもある著者が、日本の伝統文化を踏まえて指南する、穏やかな「大人の関係」の築き方。

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