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人を惹きつけるスピーチのコツ

事前準備も完璧。ポイントも明確にして、結論から話す。そんなスピーチの基本を押さえていても、あまり真剣に聞いてもらえなかったり、殆ど内容が伝わっていなかったりと言った悲しい思いをした経験はありませんか?もしかしたら、あなたのスピーチに足りないのは「間」かもしれません。元NHKキャスターの著書から、最高の話し方に変わる「間」のとり方をご紹介します。

矢野香

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目次

  1. ○「間」とは思いやり
     
    • 「間」とは思いやり

      「社長。朝礼でのスピーチは、もうやめてくれませんか?」
      社員3人に呼び出されてそう言われ、衝撃を受けたというAさんがスピーチトレーニングにやってきました。
      Aさんは、父親の事業を継いだ二代目経営者です。
      その会社では、毎日の朝礼で社長がスピーチをするのが先代からの恒例。
      Aさんも毎日時間をかけて話すことを考え、5分ぐらいのスピーチを続けていました。話し方が苦手な彼にとって、時間も労力もかかる作業でしたが、社員にメッセージを伝えることは大事だと思い続けてきました。それなのに、やめてくれと言われてしまったのです。
      理由を尋ねると、「時間の無駄だから」と辛辣しんらつな意見でした。ほかにも「知らせたいことがあるならメールで十分」など、強烈なダメ出しをされてしまったのです。Aさんは打ちのめされてしまいました。
      そこで、実際にAさんのスピーチを聞かせてもらいました。しかし、とくに大きな問題は見あたりません。新聞から情報をとったり、名言を探してきたり、事前の準備も完璧。ポイントが明確で、結論から話すという話し方の基本構成もできています。
      だとすると、不足しているのは「間」です。
      実は、Aさんのように話し下手のほうが「間」を習得するまでに時間がかかりません。なぜなら、総じて話す量が少ないからです。しかし、話し上手と思っている方は雄弁で話さずにいられないという習性があるため、「間」を使いこなせるようになるまで時間がかかります。Aさんもすぐに「間」のとり方をマスターしました。
      そして、ある年の仕事はじめのこと。
      年始の挨拶で、Aさんは「間」の効果を試してみることにしました。
      今年一年の方向性について社員に示す、社長として大事なスピーチです。失敗できません。
      社員の前に進み出たAさん。しかし、すぐには話しだしません。
      社員一人一人の顔をゆっくりと見渡し「間」をとっています。
      社員は「おや? どうしたんだろう」「いつもと違うな」という表情でAさんに注目しています。その反応を確かめたAさんは、次のように話し始めました。

      「間」を◎マークで表示します。
      「みなさん、あけましておめでとうございます。
      ◎(「おめでとうございます」という返事を待つ「間」)
      お正月はどのように過ごされましたか?
      ◎◎◎◎◎(5秒の「間」)
      私は、家族と平安神宮に初詣に行ってきました。ものすごい人出でしたが、どうしても行きたかったわけがあります。
      ◎◎◎(3秒の「間」)
      それは、平安神宮は幕末の動乱で荒廃した京都を何とかしたいと市民の熱意によって建てられた神社だからです。神主など神社の関係者が建てたのではなく、市民が建てた。私は、こういう自主性こそ、『再建』のキーワードだと考えています。
      ◎◎◎◎◎(5秒の「間」)
      私たちの業界も今まさにこの『再建』が求められています。去年の一年間で、100件以上の代理店が倒産したと言われています。この時代に私たちが『再建』するために、今年はわが社はあるプロジェクトを始めます」

      このスピーチの様子を撮影した動画を見せてもらうと、そこには以前とはまったく違う社員の反応がありました。
      かつての朝礼では、話に真剣に耳を傾けていた社員は2、3人。それ以外の人はスマートフォンをいじっていたり、平気で他の社員と雑談していたりしました。それが今回は、みな食い入るように話に聞き入っていたのです。
      プロジェクトの詳細について話し終わると、社員から「具体的には何月ごろから始めますか?」「今の試算では何%くらいを見込んでいますか?」などと、次々と質問があがりました。
      Aさんが質問を求めたわけではありません。以前は話に無関心だった社員の口から、自然と質問が出てきたのです。しかも最初に質問したのは、朝礼のスピーチをやめるように注文してきたあのベテラン社員でした。
      ビジネスにおけるスピーチでは「上手でした」「感動しました」という褒め言葉をもらっても意味がありません。聞き手から目に見える反応があってこその成功です。
      話し終わったあとに自発的に質問が出てくるというのは、スピーチの内容が伝わり、興味関心を持ってもらえた証拠です。「最高の話し方」ができた証でもあります。
      大成功と言えるでしょう。
      Aさんの場合、もともとのスピーチも経営者としてけっして悪くない話し方でした。それでも社員を動かせなかったのは、ただ話していただけで、伝えていなかったからです。「間」を取り入れることで、自分中心の自分だけが満足していた話し方から、聞き手中心の相手の立場を考慮した「最高の話し方」へと変わったのです。
      「間」は、そういう聞き手への思いやりともいえます。
      このスピーチ後、Aさんは社員との日々の会話でも意識して「間」を使ったところ、指示が正確に伝わるようになりました。
      経営者としてさらに社員からの信頼を得られるようになり、社員との関係が非常によくなったそうです。
      取引先との対応にも「間」を使っていると、先代を知る昔からの取引先の経営者に「社長らしくなってきたね」と言われたそうです。
      自信がついたAさん。今では最初に会ったころとは比べ物にならないぐらい、堂々と「最高の話し方」ができる経営者になっていらっしゃいます。
      「最高の話し方」ができるようになると、ここまで人生が変わるのです。

たった一言で人を動かす 最高の話し方

矢野香

KADOKAWA

2 章 「間」をとれば「最高の話し方」になるより

「なぜ、あの人が話し出すと 聞き入ってしまうのだろう?」あの起業家、政治家や一流企業の幹部も実践中!NHKキャスターとして17年活躍し、現在は5歳から80歳まで31,000人の話し方を劇的に向上させた著者だけが知っている、成功を勝ち取るスゴい話し方!「雑談」「プレゼン」「挨拶」「営業トーク」「結婚式のスピーチ」「初デート」といったどんな時でも対応可能!仕事も人間関係も「話し方」次第で劇的に変わる、最短、最速で最高の結果を出す究極のコミュニケーション術をお届けします。

     width= 楽天ブックス

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