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知らずに使うと恥ずかしい大人のカタカナ語

よく耳にするカタカナ語をあなたはどれくらい理解していますか?正確な意味を確認せず、なんとなくのイメージで使っていると、社会人としての評価が下がってしまうかもしれません。日本語研究の第一人者・齋藤孝さんに頻出カタカナ語の意味を教えていただきましょう。

齋藤孝(明治大学文学部教授)

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目次

     
    • ステレオタイプ(stereotype)

      意味

       ものの見方や態度などが、型にはまっていること。「ステロタイプ」とも。


      「ステレオタイプ」は、判で押したような物の言い方、つまり紋切り型であるという意味で、否定的に使われることの多い言葉。「型にはまっている」という表現がありますが、「型」自体は決して悪いことではありません。ですが、工夫がない、オリジナリティーがないのはおもしろくない。文科省が提示する「新しい学力」は、自分の頭で考えることを推奨しています。型を大事にしつつも、自分なりの表現を見つけ出すことが必要です。この言葉は、1912年に森鷗外が『かのやうに』の中で「ステレオチイプな笑顔の女芸人が」と使っています。
    • リテラシー(literacy)

      意味

       読み書きの能力。ある分野についての知識や能力。


      江戸時代は世界的に見て識字能力が高く、庶民のリテラシーも高かったと言われています。これは寺子屋制度のなせる業で、その後、明治の初等教育にも引き継がれていきました。今は意味が広がってきて、「情報リテラシー」や「メディアリテラシー」という形で、使いこなす力という意味で使うことが増えています。情報リテラシーは、情報化社会で正常に生活するために必要な最低限の力です。これは、情報を幅広く摂取して取捨選択できる能力まで含まれています。メディアリテラシーとは、メディアの信用度について判断できる力を指します。
    • プラットフォーム(platform)

      意味

       コンピューターの基盤。基本的な環境や設定。


      基本構造という意味で使われる言葉で、「このシステムのプラットフォームは何か」という形で使われます。ビジネスでは、プラットフォームを作った者がルールを決めると言われています。つまり、ルールを共有させた者がその業界をリードできるということ。例えば、iPhone用のアプリを新しく開発するということは、アプリとしては新しいものだとしても、iPhoneのプラットフォームに合わせなくてはならない。つまりiPhoneがプラットフォームなのです。プラットフォームを意識すると、ビジネス的な思考が鍛えられます。
    • クラウドファンディング(crowd funding)

      意味

       ある目的のため、不特定多数の人からインターネットを通じて資金を集めること。


      ファンドは資金、基金のことで、ファンディングは資金を集めるという意味。「クラウドファンディングで支援をする」と言います。株式会社は、株を株主が買うという形で資金を集めるもので、東京証券取引所などの厳しい審査や手続きが必要です。一方クラウドファンディングはそれがないので、参加するときにはよほど注意が必要です。ただ、これは資金集めの一つの手法であり、信頼できる人や組織が行うものであれば問題ありません。ちなみに、この「クラウド」は「雲」ではなく「大衆」なので、間違えないようにしましょう。
    • ルーチン(routine)

      意味

       きまりきった手続きや手順、仕事。ルーティンとも。


      「作業をルーチン化する」「この段取りをルーチンに組み込む」という形で使います。「ルーチンワーク」という言葉は、退屈する仕事というニュアンスで使われることもあります。ラグビーの五郎丸選手がペナルティーキックをする前にするポーズ、それがルーチンとして話題になりましたが、イチロー選手も、試合の日は朝食べるもの、ストレッチの内容など細かくルーチンを決めています。それは、もし、結果が悪かったときに何が原因かを突き止めやすいからと言っていました。安定した仕事をする人は、ルーチンを決めていることが多いと思います。
    • サイレントマジョリティ(silent majority)

      意味

       物言わぬ多数派。積極的に発言しないが大多数である勢力のこと。


      「サイレントマジョリティの存在を意識する」というふうに使います。声高な主張は一見強そうだけれど、全体から見たら実は少数派で、声を上げない人たちの方が圧倒的多数なのです。特に政治家は、サイレントマジョリティの声なき声に耳を傾けることが必要。日米安保条約締結時の首相だった岸信介は、国会前ではすごい反対運動が起きていたけれど、少し離れた後楽園球場では何万人もの人が野球を楽しんでいて、安保反対が日本国中の声のように思っていたが実態は違ったと後に語っています。サイレントマジョリティへの意識は大切です。
    • イノベーション(innovation)

      意味

       刷新。技術革新。新機軸。


      「イノベーションとなる製品の開発」という形で使います。技術革新という意味だけではなく、新たな市場の開拓やシステムの刷新まで幅広い意味で使われています。「革新」というとラジカルな意味にもとられるので、日本語としては「刷新」という言葉がいいのかもしれません。イノベーションという言葉はアメリカの経済学者シュンペーターが提唱した概念で、後にドラッカーなども使っています。企業が長く続くためには常に新しいことを考える頭が必要。新技術の投入やシステムの改良、また無駄を省くこともイノベーションの一つです。
    • エッジ(edge)

      意味

       ふち。端。卓球台のへりの部分。アイススケート靴の金属の刃。


      「エッジの効いたデザイン」という形で使います。言葉として「エッジが効いた」というときは、鋭い意見や鋭い視点という意味。人を刺激するようなものの見方のことです。会議では、エッジの効いた意見を言う人がいないと活性化しません。かといって、エッジが効きすぎている人たちばかりだと、安定感がない。バランスが大事なんですね。いい会議というのは、デカルトの言うような「ボン・サンス(良識)」を持ちつつ、エッジの効いた視点を持つ人が集まっていること。そうすると、実現できる範囲での新たな発想が生まれやすくなります。
    • ソリューション(solution)

      意味

       問題の解決。問題解決のためのコンピューターシステムの構築。


      「ソリューションを提案する」という形で使います。従来の伝統的な学習方法が知識の継承であったとすれば、問題解決型学習は新たな学習法と言えます。「この事例について、あなたならどうしますか」という問に答えること。これがソリューション型の頭の使い方です。質問に対するものは回答ですが、問題に対するのは解決です。問題解決という概念は、日本にも昔からありました。例えば世阿弥の『風姿花伝』では、珍しいものを〝花〟として、その見せ方によってお客さんを引き付けるという、顧客満足に関するソリューションを提示しています。
    • アジェンダ(agenda)

      意味

       計画。予定表。議事日程。


      「今日のアジェンダを発表する」という形で使います。これからの行動計画という意味で、日本語に置き換えるとしたら、予定や計画ということになるでしょう。アジェンダというときは、日程(時間)と手順を決めておく必要があります。いつまでに何と何をして、その次に何と何をする、という具体性をもったものでなくてはアジェンダになりません。ですから、会議でぼんやりした資料を出すと「アジェンダに落とし込んできて」「アジェンダに仕上げてきて」と注意されるので、気をつけましょう。
    • コミット(commit)

      意味

       関係すること。関わり合うこと。


      「環境問題にコミットする」「その件にはコミットしない」という形で使います。深く関わりを持つというイメージです。ある程度「約束する」というニュアンスはありますが、「確約」まではいかないのがこの言葉の微妙なところです。「成果にコミットする」といえば、成果について深く関わるけれど責任は持たない。ですので、成果がなくても相手方を訴えることはできないでしょう。「コミットする」というときは、当事者意識を持ってのぞむことの表明になります。「コミットメント」と名詞で使うときは、公約という強い意味にとらえることが多いですね。
    • フィードバック(feedback)

      意味

       結果の反応によって行動を変化させること。


      「フィードバックされた情報を商品開発に活かす」という形で使います。フィードバックとは、反応する、意見を返すことにとどまらず、それを活かして行動を変えることまで含みます。フィードバック機能があるということは、修正する力があるということ。フィードバック回路を持つことは、組織にとって大切なことです。私は大学の講義や講演会では必ず出席された方からコメントをもらうことにしていて、次回フィードバックするようにしています。講義や講演会では、準備、ライブでの融通、フィードバックの三本柱を大切にしています。
    • クオリア(qualia)

      意味

       感覚的体験による質感のこと。感覚質と訳される。


      「なんとなく感じること」ではなく、独特で鮮明な質感のこと。例えば、金木犀の香りがすると、たいていの人は「ああ、あの香りね」とはっきりとわかりますよね。そういうときに、「金木犀の甘い香りというクオリアが感じられる」と使います。言語ももちろん重要ですが、心は言葉で説明しきれるものではありません。そこで、心を脳科学的に研究するときに、感覚、つまりクオリアを司る心の機能への注目が進んできたのかもしれません。日本では昔から「わび、さび」などの感覚を重んじてきましたが、クオリアと縁が深いのではないでしょうか。
    • レジーム(regime)

      意味

       体制、政治体制。


      「フランス革命によって、アンシャンレジームは崩壊した」という形で使います。アンシャンレジームとは旧体制のこと。具体的には、フランス革命以前の王政のことを指します。変革を訴えるときに、スローガン的に「アンシャンレジームを打破する」と使うこともできます。レジームが体制という意味なので、「量的緩和レジーム」と言うこともありますが、文脈としてはアンシャンレジームと使う方が一般的でしょう。ちなみにフランス革命は1789年。この年号くらいは社会人の常識として覚えておきましょう。
    • オノマトペ(onomatopée)

      意味

       擬声語、擬態語。


      「オノマトペで心情を表現する」という形で使います。語源はフランス語。長嶋茂雄さんに代表されるように、言葉に「ズバッと」「グッと」「ガーッと」という語彙が多い人はオノマトペ多用型と言えましょう。伝わる人には伝わる、非常に感覚的な言葉です。日本語は特にオノマトペが豊富で、現在でも語彙が増えているという、オノマトペ全盛言語です。「クンクン」と「グングン」では、濁音だけの違いなのにオノマトペとしてはまったく違う言葉です。外国人からすると、その違いをつかむのに苦労するようですが、日本人は苦もなく使いこなせます。
    • シニカル(cynical)

      意味

       肉な態度をとる様子。冷笑的。


      「彼はシニカルな笑いを浮かべていた」という形で使います。皮肉を言う場合は独自の理解力が前提になっているので、洞察力があるとも言えます。上手に皮肉を言われると、言われた方がはっと目を開かれることがあるのです。ただ、他の人の価値観を小馬鹿にするような印象ではあるので、言う方にリスクはあります。ですが、理解力や洞察力のある人が、ありきたりなものの見方に対して皮肉を言うのは、社会にとって刺激にもなるのではないでしょうか。皮肉を受け入れられるだけの度量がある社会の方がいいような気もします。
    • セレンディピティ(serendipity)

      意味

       偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること。


      「この発見はセレンディピティによってなされた」という形で使います。本来期待していなかったことが偶然見つかるという意味で、幸運を引き寄せる力でもあります。抗生物質であるペニシリンは、青カビの研究から偶然見つかったもので、これぞまさにセレンディピティです。幸運をつかむ人は、常に偶然の出会いを追い求め、大切にしています。ニーチェは『ツァラトゥストラはかく語りき』の中で、「偶然を妨げるな」と言っています。すべてが予定通りなんてつまらない、偶然を喜んで受け入れなさいということなんですね。
    • ブラフ(bluff)

      意味

       はったり。こけおどし。


      「強気のブラフをかける」という形で使います。もともとはポーカーなどのトランプゲームの言葉。ポーカーはいい手で勝つ人よりも、悪い手なのにブラフをかけて強そうに見せて勝てる人が強いんですね。つまり、どんな手が来ても勝てる。ビジネスでも、ブラフが必要なことがあります。クライアントから自分が知らないことを聞かれたとしたら、とりあえず詳しいふりをしてその場をしのぐこともあるでしょう。大事なのは、大きな声でブラフをかけることと、あとで必ず裏付けをとって確認することです。
    • ハイブリッド(hybrid)

      意味

       雑種。交雑種。異種のもの同士の組み合わせ。


      「ハイブリッド車」や「ハイブリッド米」などがあり、1933年の『読書放浪』(内田魯庵)に「長崎の生活は総てが日本と外国との交錯から生れたハイブリッドで」という用例があります。雑種というとあまりイメージがよくないですが、複合することによってよりすばらしいものを作るというニュアンスですね。「日本とアメリカのハイブリッドでいきましょう」という言い方もできるので、掛け合わせの表現としては便利な言葉でもあります。ハイブリッド米は、それぞれの種の強みを生かして交配することなので、よりよい種になります。
    • プロパガンダ(propaganda)

      意味

       主義・思想の宣伝。広く知れ渡らせること。


      「彼らのプロパガンダに騙されるな」という形で使います。意図的に無理やり広めていくというニュアンスがあるので、使い方に気をつけたい言葉です。政治的な意図を見抜くためにも、プロパガンダという言葉は覚えておいた方がいいでしょう。日本でも、第二次大戦前の全体主義社会時代に、政治的意図が含まれたフレーズが流れたことがありました。「欲しがりません勝つまでは」「贅沢は敵だ」「一億玉砕」などは、典型的なプロパガンダです。人々を扇動する目的で流布されるプロパガンダには常に注意が必要です。
    • マイルストーン(milestone)

      意味

       道路に1マイルごとに置く里程標。画期的な事件のこと。


      1マイルは約1・6キロメートル。ここまで到達したという印のことで、物事の節目を言う時に使います。「2年ごとにマイルストーンを置く」と言えば、2年ごとに現状分析とプロセスの見直し、その後の目標設定の確認をするという意味になります。アスリートであれば、4年に一度のオリンピックはマイルストーンになるのでしょう。ストーンは石ですが、石を置くというイメージが大事なのではないでしょうか。日本には昔から石碑があって、絶対に忘れないような記念として使われていました。石の重みを感じながら、節目を思うということでしょうね。

    • オンブズマン(ombudsman)

      意味

       国民に代わって行政活動を監視し、苦情処理する者。


      「オンブズマン制度を活かす」という形で使います。オンブズマンとはスウェーデン語で代理人のこと。スウェーデンは個人の権利意識が強い国。ベストセラーになったスウェーデンの小説で『ミレニアム』というのがありますが、一般社会の中でももめごとがあると憲法が持ちだされるんですね。個人の社会でもしかりですから、憲法に照らして行政を監視するというのが徹底している国です。日本には「お上意識」があって、お上に苦情を言いにくい風土があったのですが、もうそんな時代ではありません。市民が行政を監視する時代になったのです。
    • ノマドワーカー(nomad worker)

      意味

       ITやモバイルを活用し、場所と時間を自由に選んで仕事をする人。


      ノマドとは遊牧民のこと。会社に行って自分のデスクについて仕事をする、というのが定住民だとすると、喫茶店を転々としながらノートパソコンを持って仕事をする人がノマドワーカーということになりますね。私自身も、喫茶店で仕事をする方がはかどります。大事なのは、どこで何をしていても生産性を上げているということ。結果主義的な仕事の仕方と言えます。子育てや介護と仕事の両立が課題になる社会においては、一つの働き方として推奨されていいと思います。「ノマドワーカーのメリットとデメリットを理解しておく」などと使います。
    • ライトノベル(light novel【和製英語】)

      意味

       主に若者向けに、会話やイラストを多用した小説。


      略して「ラノベ」とも言います。本が苦手な人でもサッと読める良さがあり、かつSF、ファンタジー、ミステリー、恋愛などさまざまな要素を含んでいるので、幅広い読者を獲得できるというメリットがあります。ラノベを「軽い」と評することもありますが、重ければいいというものではありません。ゲーテはジャンルごとに一流があると言っていて、軽いと言われるラノベにも、一流のものはあります。『プラトン対話篇』は、ラノベのように会話で成り立っている作品なので、『プラトン対話篇』はライトノベルの起源であると言えるかもしれません。
    • リノベーション(renovation)

      意味

       手を加えてよりよくすること。修復。改革。


      「古民家をリノベーションする」という形で使います。何もかも新しくするのではなく、既存のものを改良することで新たな価値を生み出そうという動きの中で注目されるようになった言葉です。reは再びという意味なので、再利用とも近い言葉ですね。海外の旅行者の多くが古き良き日本を求めてやってくることもあり、リノベーションのニーズはますます高まることと思います。新しいものを作るよりも、歴史と伝統のあるものを大切に使い続けることこそが、真の贅沢なのかもしれません。

大人の語彙力大全

齋藤孝

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知らずに使うと恥ずかしい、大人の頻出カタカナ語より

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