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鉄分の効果と手軽にとれる食品ランキング
特に女性に不足しがちな栄養素の「鉄」。欠乏すると、貧血や頭痛、倦怠感を引き起こしてしまいます。女性は月経などで定期的に鉄が排出されてしまうことから、積極的にとりたいものですが、鉄の宝庫と言われる食材・レバーはあまり日常的には食べにくいものでもあります。なかなか摂取しにくい鉄を効率よくとるにはどうしたらよいのでしょう。医師監修の栄養事典からご紹介します。
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目次
- ○全身に酸素を運ぶ運搬役 酵素の成分としても重要
- ○月経のある女性は不足ぎみ 妊婦も意識して摂取して
- ○貯蔵鉄の在庫が底をつくといよいよ酸素不足で貧血に
- ○とり方のコツ
- ○鉄6.5㎎が手軽にとれる食材・食品Best5
- ○食材の組み合わせを工夫して吸収率をアップ
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全身に酸素を運ぶ運搬役 酵素の成分としても重要
成人の体内に約3〜4g存在する鉄の最大の役割が、赤血球のヘモグロビンの主成分となり、酸素を運ぶことです。筋肉の赤い色素で、筋肉に酸素を取り込む働きもあります。さまざまな酵素の材料として利用され、エネルギー産生や肝臓での解毒、活性酸素の除去、免疫機能の活性化などに寄与しています。これらの鉄は機能鉄とも呼ばれ、全体の約70%を占めています。残り約30 %の鉄は、肝臓や脾臓、骨髄などに貯蔵鉄として蓄えられ、機能鉄の不足時に利用されます。 -
月経のある女性は不足ぎみ 妊婦も意識して摂取して
体内に取り込まれた鉄は、脊髄で赤血球に合成されます。その後、赤血球は約120日を過ぎると膵臓で破壊されますが、鉄は骨髄に再度運ばれ、新しい赤血球の合成に再利用されます。このため、体外への排出は、一般的に一日1㎎と考えられていますが、女性の場合は月経により定期的に鉄分を失うため、積極的に摂取する必要があります。30代女性の場合、摂取推奨量と比較すると、現状はかなり不足傾向。月経過多、妊娠中期、後期の人は多めに摂取することが求められます。 -
貯蔵鉄の在庫が底をつくといよいよ酸素不足で貧血に
体内で働いている機能鉄が不足すると、蓄えられている貯蔵鉄を取り崩して補います。貯蔵鉄はいわば予備。若干減っても貧血の症状は出ないことが多いのですが、それでも不定愁訴が起きたり、精神的に不安定になったりする場合もあります。この貯蔵鉄の在庫が底をついて機能鉄へ補給ができなくなり、血液を通して全身へ酸素を運ぶ赤血球中のヘモグロビンの数が減ると、いよいよ体のなかは酸欠状態。頭痛、動悸、倦怠感など、鉄欠乏性貧血の症状が現れます。過剰●通常の食事では過剰症の心配はありません。
●サプリメントなどでとりすぎると、便秘、肝臓の障害や肝硬変になる場合や、体内で活性酸素を発生させて細胞を老化させることがあります。
欠乏○鉄欠乏性貧血によるめまい、息切れ、頭痛、食欲不振などが現れます。
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とり方のコツ
◆吸収率を高めるタンパク質、葉酸、ビタミンCと一緒にとりましょう。
◆鉄は銅がないと有効活用されないので、銅を含む食品も一緒にとるようにしましょう。
◆鉄素材の調理器具を使うと、料理の具材に鉄が浸み込み、鉄が摂取できるといわれています。
◆カフェインやタンニンなどは鉄の吸収を阻害するので、コーヒーやお茶は、食事の前後30分を避けて飲むようにしましょう。
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鉄6.5㎎が手軽にとれる食材・食品Best5
1位 豚レバー 50g(13mg/可食部100g中)
2位 鶏レバー 72.2g(9.0mg/可食部100g中)
3位 シジミ 78.3g(8.3mg/可食部100g中)
4位 ひじき※ 104.8g(6.2mg/可食部100g中)※(ステンレス釜、乾)の場合
5位 牛レバー 162.5g(4.0mg/可食部100g中)
レバーは鉄の宝庫。豚レバー1食分(80g)で10.4mg。ほかにカツオ、アサリ、小松菜、ほうれん草、アーモンド、納豆などに多く含まれます。
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食材の組み合わせを工夫して吸収率をアップ
食品に含まれている鉄は、ヘム鉄と非ヘム鉄の2つに分けられます。ヘム鉄は、肉や魚など動物性食品に含まれています。タンパク質と結合し、ミオグロビンとして存在しているので、吸収率は20~30%と、体内へ効率よく吸収されます。一方、非ヘム鉄は、植物性食品に含まれており、吸収率は5%と低いのですが、体内での必要度に応じて吸収量が変化します。ビタミンCは、非ヘム鉄をヘム鉄に変える作用があるため、ぜひ一緒にとるようにしましょう。また、動物性タンパク質も、鉄の吸収率を高める働きがあります。穀類に含まれるフィチン酸、お茶や赤ワインに含まれるタンニンは、鉄と強く結合して吸収を阻害します。鉄の吸収を優先したいときにお茶や赤ワインを飲む場合は、食事の前後30分を避けるとよいでしょう。
男性 7.5㎎
女性 10.5㎎(月経あり) 6.5㎎(月経なし)
●全身に酸素を運搬。
●筋肉に酸素を取り込む。
●酵素の成分として、エネルギー代謝や肝臓の解毒作用などを活性化する。
あたらしい栄養事典
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