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カルビーお客様相談室から学ぶ「自主回収の基本方針」とは

「お客様の対応は、お客様相談室だけがやればいいのでは?」「だからこそ、お客様相談室という部署があるんじゃないの?」このような意見を耳にすることがあります。ところが、かつて起こった苦い経験の教訓によって、カルビーのお客様対応はその考え方やスタンスを大きく変えることになったのです。

カルビーお客様相談室

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目次

  1. 大きな失敗の反省から体制を再構築
  2. 自主回収における基本方針を策定
     
    • 大きな失敗の反省から体制を再構築

      「お客様の対応は、お客様相談室だけがやればいいのでは?」
      「だからこそ、お客様相談室という部署があるんじゃないの?」
      このような意見を耳にすることがあります。
      私も以前は、そのような心構えでいました。
      ところが、かつて起こった苦い経験の教訓によって、カルビーのお客様対応はその考え方やスタンスを大きく変えることになったのです。
      それは2000年のことです。カルビーのポテトチップス「味ポテト ガーリックバター」の袋からカナヘビ(とかげ)の死がいが見つかり、6万袋すべてを回収することになりました。
      その大変な事態もようやく収拾し、落ち着きを取り戻しかけた翌2001年、今度は「じゃがりこ」に未承認GMO(遺伝子組み換え体)混入事故が発生し、2年続けて大規模な商品の回収を余儀なくされたのです。
    • 自主回収における基本方針を策定

      こうした商品の大規模な回収という事態は、企業の立場からいえば大きな経済的損失をもたらすことは明白です。
      しかし、それ以上に目に見えない大きな損失があります。
      それは、お客様からの信頼、信用を失ったことに他なりません。
      お客様は大切なお金を出して、カルビーの商品を楽しみにして購入してくださるわけです。私たちは、その期待を裏切ってしまったのです。
      「信頼とは、築き上げるには長い年月を必要とする一方で、失うのはほんの一瞬である」、という言葉があります。
      私たちも、回収によって失ったお客様の信頼を、一から築き直さなければならなかったのです。

      自主回収にあたっての基本方針

       2000年、2001年の経験は、企業活動はお客様に支えられていることを再認識する活動の策定と、お客様相談室の体制を再構築するきっかけとなりました。そして、そこではじまった環境変化に対応する活動は現在も継続しています。
      その後に起こった2012年の「堅あげポテト関西だししょうゆ」への異物混入による回収の後、再びカルビーの商品を安心してお召しあがりいただけるように、そして企業としてお客様から信頼を寄せていただけるように、「自主回収における基本方針」を上の図のように策定しました。万が一事故やトラブルが発生したときには、お客様の安全を最優先に考えることを徹底しています。では、この基本方針の5つの姿勢について、順に説明していきます。
      1.顧客優先
      工場内で商品の何かしらの異常や不具合に気づくことができれば出荷を止められますが、回収するレベルではすでに商品が出荷され、市場に出回っており、お客様の口にも届いている状況です。
      そのとき、最優先で考えなければならないのが、お客様の健康危害、健康被害です。
      健康への危害や被害の可能性があることについて連絡が入った場合は、「絶対に二人目の被害者を出さないために、何をすべきか」を最優先に考えてアクションを起こすことを肝に銘じています。
      お客様対応においては「お怪我はございませんでしたでしょうか」と、まずはお客様の身を案ずることが何よりも重要です。
      2.情報開示
      食品メーカーに限らず、企業が製品を回収すると、大きなニュースになります。
      そのようなとき、情報が後から小出しに少しずつ公表されると、お客様やメディアからは「何かを隠そうとしている」と思われかねません。手元にある情報はすべてオープンにすることが必要です。さらには、少しでも公表が遅れれば別の被害を出すかもしれないということを念頭に置いて、情報開示のスピードを可能な限り迅速化することで、被害を最小限に抑えなければなりません。
      3.率先垂範
      「率先」は〝先んじる、人の先頭に立つ〟という意味をもち、「垂範」は〝模範を示す〟という意味があります。企業のリーダーが自ら進んで手本を示しながら、人の嫌がるような仕事も真っ先に取り組んでいく姿勢を見せなければなりません。
      4.スピード
      カルビーでは回収の決定を下す際は、迅速性を求めるため、品質保証本部、営業本部、広報部、物流部、そしてお客様相談室、それぞれ現場の責任者で討議して意思決定し、経営トップには事後報告でよい、というルールになっています。
      5.再発防止
      商品の回収までいかなくとも、カルビーでは一般的なご指摘でも、それに対するお客様への報告書には、お詫びの言葉だけではなく、その時点でベストだと思われる再発防止策を、お客様にお約束する意味を込めて記載します。
      さらには、その再発防止策が間違いなく実行されているかどうかをチェックする意味で、各支店のお客様相談員が月1回工場の現場に行って「工場パトロール」を実施します。
      製品事故は、本来あってはならない事態ですが、万が一の場合に速やかに対応できるよう、こうした基本方針をカルビーは立てているのです。
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