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- コミュニケーションスキルをどう育成するか
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コミュニケーションスキルをどう育成するか
2014年度、カルビーの本社には、お客様相談室に加え、コミュニケーターによる組織「コミュニケーター課」を設置しました。コミュニケーター課では、「お客様の真意を聴き出す力の強化」のために研修などを積極的に実施し、コミュニケーションスキルの向上を図っています。たとえば、コミュニケーター育成の一環として取り組んだのが、コミュニケーターのグループをふたつに分けて、他のコミュニケーターがお客様からほめられた通話の録音を聞かせる「グループ・モニタリング」です。これによって、自分がもっていない語彙や使わない言葉づかいなどを学習し、共有することができます。ではここで、実際にお客様から寄せられた声をもとに、ケーススタディをしてみましょう。お客様「フルグラを買ったんですが、どうやって食べるんですか?」カルビー「フルグラは朝食時に牛乳、ヨーグルト、豆乳などをかけてお召しあがりになる方が多いようでございます」たしかに、お客様のご質問にうまく回答していますが、これだけで終わってしまうと、商品の改善・改良へのヒントは生まれません。この点を意識して、さらに掘り下げていきましょう。コミュニケーターの聞き込みで、お客様は60代の女性と判明しました。一般的に、幼少期にシュガー、チョコなどのスイート系シリアルを食べた習慣があまりない人は、大人になってからもシリアルを食べることが少ないという傾向が知られています。ここに着目すれば、次のような疑問が浮かび上がってきます。「なぜ、シリアルの食べ方を知らないお客様がフルグラを買うのだろうか」
フルグラの基本的な食べ方を情報提供
これをお客様に質問してみると、お客様から次のような答えを聞き出すことができました。お客様「お友達から、『これいいから』と勧められて購入したんです」つまり、ここでの「お客様の真意を知る」ということは、大人になって初めてシリアルを召し上がるお客様が増えている、という市場の変化を知ることにつながります。同様の問い合わせが増えてきたことで、市場の変化で、「フルグラの購入層=シリアルを食べ慣れている人」という、今までの常識が通用しなくなったことが見えてきました。さっそく、この市場の変化を商品担当者に伝え、第一の対応として商品に(数量限定で)フルグラの食べ方を説明したリーフレットを添付し、第二の対応として、パッケージに「はじめてフルグラを召し上がるお客様向けのわかりやすい食べ方」の説明を載せるようにしたところ、こうした問い合わせがピタッとなくなったのです。
カルビーお客様相談室 クレーム客をファンに変える仕組み
お客様の声に耳を傾け続け、企業活動に活かすことで、愚直に、ひとりずつファンを増やしてきたカルビー。本書では、そんなカルビーお客様相談室が実践してきた、受け身ではない、お客様対応の実学が、はじめて明かされます。