目次
- ○70年前の日本人は今よりずっとたくさん食べていた!
- ○日本人が太ってしまった本当の原因とは?
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70年前の日本人は今よりずっとたくさん食べていた!
これだけ老若男女がダイエットに関心を持つ日本には、本当にそれほど太り過ぎの人が多いのでしょうか。ここで言う「肥満」とは、BMI(ボディマス指数)が、25以上の人のこと。日本肥満学会では、成人の場合は18.5~25未満を「普通体重」としています。BMI=体重㎏÷(身長m)²体重が50キログラムで身長が160センチの人は、BMIが19.53で、普通体重ということになります。下のグラフは、厚生労働省の「国民栄養調査」の結果です。BMI25以上の肥満者の割合を見てみると、1980年以降、女性はほぼ横ばいですが、男性に関してはどんどん増加しています(グラフ1)。グラフ1 肥満者(BMI ≧ 25)の割合通常「食べ過ぎると太る」というのは、非常に当たり前のように思えますが、日本人、とくに男性は本当に食べ過ぎているのでしょうか。それを調べるために、1946年の日本人のエネルギー摂取量を見てみましょう(グラフ2)。20歳以上の平均が約1900キロカロリーとなっています。1946年といえば今から70年前、終戦直後です。次に2011年を見てください。なんと1800キロカロリー。日本人の摂取カロリーは国民のほとんどが食うや食わずだった終戦直後よりも低くなっているのです。終戦後、摂取カロリーはだんだん高くなり、ピークは1975年の2200キロカロリーですがその後どんどん減ってきているのです。しばしば「現代は飽食の時代」と言われますが、摂取カロリーだけで見れば、決して「飽食」しているわけではありません。グラフ2 エネルギー摂取量平均値(20 歳以上の日本人) -
日本人が太ってしまった本当の原因とは?
摂取カロリーは減っているのに、肥満が増えているということは、日本人は食べ過ぎで太ったわけではない、ということを意味します。ではなぜ、日本人は太ってしまったのでしょうか? 一番大きい原因は「運動不足」だと考えられます。口から入れるカロリーは減っているのに、体重が増えているということは、「動いていない」からです。言うまでもないことですが、たくさん食べても、その分たくさん動けば絶対に太ることはありません。たとえば、アフリカのマサイ族の1日の平均カロリー摂取量は3000〜3500キロカロリーです。彼らの主食は高カロリーの生乳。しかし、マサイ族に太った人などまったくいません。というのも、彼らは1日の半分は放牧のために常に動き続けているから。1日に12時間以上動き続けるためにはこれだけのカロリーが必要になります。だからこれだけ高カロリーの食事をしても、太ることがありません。日本の弥生時代の人間も、3000キロカロリー程度を摂取していたのではないかという説もあるのです。日本人は、カロリー摂取は減っているのに、それを上回って運動量が減っているために体重が増えてきているということです。グラフを見ると、1980年以降、女性の体重はあまり変わらず、世代によってスリムになっています。これはまず女性が男性よりも、体重を気にする傾向が強いためと同時に、基本的には日常的な家事によって、男性よりもずっと運動量を高いレベルに保っているということが大きな理由と考えられます。「運動」というのは、ジム通いとかジョギングのことばかりではありません。そもそも終戦直後に男性が、「健康のために」とジョギングしたり、ジムに通ったりしたでしょうか? ジョギングなんかやっているヒマはないでしょうし、そもそも「スポーツジム」なんかありません。その代わり体を動かして働いていました。しかし、農業についても機械化が進み、車社会になり、デスクワークにつく人が増えていった結果、どんどん運動不足になっていったということです。女性は、電化製品の普及によってかなり楽になったとはいえ、家事で体を動かす機会は男性よりもずっと多いのです。子供を抱き上げ、自転車の前後にふたりも乗せて買い物に爆走し、バーゲンでは重い荷物をものともせずに持ち帰る。洗濯も掃除も、昔よりは楽になったでしょうが、それなりの運動量があるからです。その差がグラフ1にはっきりと現われていると言ってもいいのではないかと思います。現代の日本人がいかに運動不足かということを、まず心に留めておいてください。
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