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できるリーダーはやっている!言葉の使い方

メンバー同士がお互いをよく理解し、目標を共有して仕事を進めていても、意外な落とし穴が待っていることがあります。それは思わぬアクシデントということもありますが、実は身近にも誤解を招く罠が落ちていることもあるのです。特に起こりがちなのが、日常的に使う用語の誤認です。実は「なんとなく」しか理解していない言葉というものは意外と多いもの。言葉で起こる余計なトラブルを回避する対策をご紹介します。

中村一浩

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目次

  1. ○使う言葉を統一して不要な誤解を防ぐ
     
    • 使う言葉を統一して不要な誤解を防ぐ

      いきなりですが、質問です。
      業務を進めていくうえで使っている言葉は、チームのメンバー全員が同じ意味で使っているでしょうか。日常的に使っている言葉を、共通の意味で認識していますか。たとえば、次の言葉の正しい意味を説明できますか。

      ●戦略、改革、方針、計画、予算、管理、目的、目標、体制、問題、構造、論理

      ●イノベーション、モチベーション、マネジメント、オペレーション、デザイン

      ●PDCA, SCM, ERP, IoT, PER, QCT, AIDMA, UX, HRM, KPI, LTV

      これまで、多くの企業の方と仕事をしてきましたが、理解しきれていないままで、あるいは各メンバーがそれぞれ異なる解釈で、言葉を使用していることがほとんどでした。
      僕も含めて、「なんとなくわかっているけど、なんとなくしかわからない」というレベルで、これらの言葉を使っているのが現実だと思います。しかし、すべての言葉の意味をきちんと理解して使ってほしいと言いたいわけではありません。「曖昧な意味でしか言葉を使っていない」という前提で、お伝えしたいことが3つあります。

      ●誰もが理解できるわかりやすい言葉や絵を使う

      ●実際の体験を通じて理解してもらう

      ●何度も何度も繰り返して伝える

      これらを実現するもっとも効果的な方法は、社員の誰もが聞いてピンとくる、実践につながる「共通言語」をつくることなのです。
      僕がミスミにいた頃、「改革シナリオ(戦略とビジネスプロセス)には『3枚の絵』が必要だ」と言われました。1枚目が強烈な反省論、2枚目が改革シナリオ、3枚目がアクションプラン(マインドと行動)。これがミスミ社内での共通言語になり、「1枚目が甘い!」「2枚目が複雑すぎる!」というチーム内でのやりとりがよく生まれていました。
      また、リクルートにいた頃、仕事でいつも問われる言葉は「お前は何がしたいのか?」と「お客様はなんと言っているのか?」の2つでした。この2つは「個人が起点となって社会にどう影響を与えていくのか?」「1人ひとりが経営者の意識を持って事業に取り組んでいるか?」「価値があるかどうかを判断するのは、すべてお客様である」ということを再認識するための問いとして、共通言語になっていました。
      独立してからさまざまな企業の方とお仕事をしてきましたが、成長している企業、お客様からの支持を得ている企業に共通していることは、「共通言語を持っている」ということでした。再生できたJALの根幹には「JALフィロソフィ」があり、トヨタグループには「トヨタ語」があり、ディズニーには「SCSE(安全・礼儀正しさ・ショー・効率)」があります。
      単なる言葉ではなく、組織としての考え方や目指す状態が言葉や絵になり、全社員に浸透しています。
      そして共通言語は、その会社や組織風土に合った形で存在します。事業の実現したい状態を形づくるために生まれてきたものなので、千差万別の表現になります。
      共通言語を生み出す作業は、「理論(Theory)」から「持論(theory)」をつくる作業にも似ています。理論は、世の中で起こることを俯瞰し、そこから共通することを表したものです。したがって、抽象度は高くなりますが、普遍性もあります。しかし、普遍性が高いものは、現場の実践に用いるには実用性がなかったり、当たり前のことすぎて、その意味をメンバーに腹落ちさせるのが難しかったりします。
      だからこそ大事なのは、普遍性の高い「理論」から具体的でわかりやすい「持論」を導き出して、それを共通言語にすることです。
      たとえば、この本で言えば、やる気を引き出す方法として「Will-Can-Must」を紹介しました。非常に普遍的な3つの視点なので、この本を読んだだけでは腹落ちするところまで理解が及ばないかもしれません。
      しかし、「Will-Can-Must」を実際にメンバー1人ひとりやチームに適用していくうちに、今の事業で自分たちが価値を届けたいこと(Will)や、届けるべきこと(Must)、そのためにできること(Can)が見出されてきて、自分たち(そのチーム)なりの「持論(theory)」が構築され、共通言語につながっていくのです。
      「Will-Can-Must」に限らず、普段使っているフレームワークが、どの場面でどのように使われているかを整理し、それを踏まえて、各フレームワークを意識的に使うようにしてください。そうすることで、フレームワークが持論になり、共通言語になっていきます。

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