目次
- 間違えて使うと「失礼な!」と怒られかねないことわざ①
- 間違えて使うと「失礼な!」と怒られかねないことわざ②
- 間違えて使うと「失礼な!」と怒られかねないことわざ③
- 間違えて使うと「失礼な!」と怒られかねないことわざ④
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間違えて使うと「失礼な!」と怒られかねないことわざ①
■ 老骨にむち打って…常子さんの会社も、世の不景気の影響で、業績はどうも芳しくない。そこでトップが交代することになった。新しい社長……といっても、実は先代である。いったん息子に社長職を譲ったのだが、立て直しのために三年ぶりに現場復帰した、というわけだ。秘書の常子さんがお茶を頼まれ運んでいくと、社長に話しかけられた。「きみは私が前の社長時代にはいなかったね」「はい、去年入社いたしました」「そうか。ウチも今、大変な時だ。私も息子に任せてはおけんと現場復帰したんだが……。とにかく私も一生懸命がんばるから、よろしく頼むよ」「こちらこそ、よろしくお願い致します。いたらないところは遠慮なく叱ってください。それから、社長には、みんな期待しています。ぜひ『老骨にむち打って』がんばってください」そう言った途端、「バカモーンッ!」と、カミナリが落ちた!「えーんっ、がんばってくださいって応援したのにィ……」と常子さん。でも、『老骨にむち打つ』というのは、『老いた身をふるいたたせて、(何ごとかを)一生懸命努力する』という意味で、年取った人が自分を謙遜していう言葉。いくら激励するつもりでも、若い人が老人に言えば失礼になる。これは叱られるわな! -
間違えて使うと「失礼な!」と怒られかねないことわざ②
■ おぼれる者はわらをもつかむ…やっと、なぜ自分が叱られたのか分かった常子さん、社長に謝った。「社長、先ほどは申し訳ありませんでした」「やあ、常子くん。私もいきなり叱って悪かったよ。ただ、秘書たるもの、言葉遣いには重々気をつけて欲しいな」「はいっ、気をつけます!」そう言って深々と礼をして去ろうとすると、呼び止められた。「ところで、きみ……さっき、何とか言っとったねえ……」「はい?」「ほら、社員がみんな、私に期待しているとか何とか……」「ああ、はい」「あれは、本当かね?」どうやら社長も人の子、自分の評判が気になるらしい。「はいっ、本当です!」「きみも、そう思っとるのかね?」「もちろんです! だって『おぼれる者はわらをもつかむ』ですもの!」そう言って、ニッコリほほえんだ途端 「バカモーンッ!」と、再びカミナリが落ちた!「えーんっ、何でぇ?」と常子さん。だが、これも叱られて当然だ。『おぼれる者はわらをもつかむ』とは、『水におぼれるような危急の災難にあったときには、たとえわらのような頼りないものにさえ、すがって頼りにしてしまう』という意味。つまり社長を、頼りない、取るに足らないつまらないもの扱いしているわけだ。これでは社長の怒りもごもっとも!また、『おぼるる者……』が正確な言い方。 -
間違えて使うと「失礼な!」と怒られかねないことわざ③
■「ウチの子ども達はみんな『どんぐり』で、私は『鳶』かっ!」「というわけで、失敗してばかり……」と営業部の識男くんにグチをこぼしている常子さん。そこに通りかかった営業部長。「なになに……ふーん、なるほど。『ことわざ』には、間違えて使うと、ほめるつもりがけなすことになったりするなど、失礼になるものがある。気をつけなくてはね」「そうですね、反省します。そういえば部長の3人目のお子さんも、T大学にご入学とか。すごいですね。3人とも超難関のT大学ですよね」「ホント、揃いも揃って優秀ですよね」と相槌を打つ識男くん。「いやあ、あはは。まぐれ、まぐれ」と、相好を崩す部長。「3人のお子さんとも、みんな優秀で甲乙付けがたい、まさに『どんぐりの背比べ』って感じですね!」と常子さん。サーッと部長の顔色が変わった。「部長も鼻が高いですよね。『鳶が鷹を生む』っていうやつですね」と、これは識男くん。その途端、「しっ、失礼な! バカモーンッ!」と、今度は部長のカミナリが!何ともマズイことを言ったものである。まず、『どんぐりの背比べ』。常子さんは、部長の子ども達がいずれも優秀で、その意味で「差がない」ことを強調したかったのだろうが、この言葉の意味は、『いずれも平凡で、そのレベルで優劣つけがたい・傑出したものがない』というもの。どんぐりにたとえられた部長の子ども達や、もちろん部長にも、かなり失礼な言葉だ。また、識男くんの言った『鳶が鷹を生む』は、『平凡な親から、非凡な才能を持った子が生まれる』ことのたとえ。鳶にあたる親が使う分にはかまわないが、他人が言えば、とりあえず子どもを誉めてはいても、親をけなしているように受け取られる。「よくまあ、アンタのようなつまらない親からそんな優秀な子ども達が生まれたモンだね」となるわけで、子どもをどんぐりにたとえられたうえに、自分を鳶扱いされれば、部長でなくとも怒ってしまうだろう。 -
間違えて使うと「失礼な!」と怒られかねないことわざ④
■ その他の気をつけたい、間違って使うと失礼にあたることわざを紹介してみよう。
●『蛙の子は蛙』……「オタマジャクシは親である蛙とちっとも似ていないが、成長すれば結局蛙になる。凡人の子は凡人でしかない!」という意味。「お父さんが優秀だったからお子さんも素質があります。さすが『蛙の子は蛙』ですね」などとほめ言葉に使ってしまいそうだが、これは間違い。
●『枯れ木も山のにぎわい』……「たとえ枯れ木でも、山をにぎやかにするために少しは役立つこともある。どんなつまらないものでも、ないよりはマシ!」という意味。
忘年会の席などで、「いやー、部長、お忙しいのに出席してくださったんですねぇ。『枯れ木も山のにぎわい』って言いますよねえ、うれしいです」なんてやらかそうものなら、白い眼で見られること間違いなし。部長=つまらないもの、ということになってしまうからだ。
●『他山の石』……「よその山から出るつまらない石でも、玉を磨くためには使える。つまらぬ人の言行といえども自分が立派な人になるための修養には役に立つ」という意味。卒業式で「先生を『他山の石』として、これからもがんばります」なんて言うと、先生に「おまえ、もう一年学校にいろ!」なんて言われるかも。「先生をお手本にして」と言うつもりだったのかもしれないが、これでは「アンタみたいにつまらんヤツでも、オレが立派な人物になるために役立ててやるぜ!」ということになってしまうからだ。
●『馬子にも衣装』……「身分の低い者でもそれなりの格好をすれば、それなりに立派に見える」という意味。上司の娘の成人式の写真を見せられてひとこと、「いやー、きれいなお嬢さんですねえ。お着物もすばらしい! 『馬子にも衣装』ですねえ」。……ほめ言葉のつもりで使ったつもりのようだが、上司の耳にはどう届いたか。
「いやー、身分の卑しいアンタの娘でも、それなりの着物を着たりなんかすると、そのおかげで、なんとか、まあ、見られるじゃん!」となる。明日から窓際の机になっても文句は言えない……。
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