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つい使ってしまう二重敬語

尊敬語・謙譲語・ていねい語の使い分けは出来ていますか?
特にお客さまに丁寧に話をしようとすると、過度に敬語を使ってしまい、二重敬語になってしまうことがあるものです。敬語の使い方で気をつけるポイントをご紹介します。

平成常識力委員会

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目次

  1. ○つい使ってしまいがちな二重敬語①
  2. ○つい使ってしまいがちな二重敬語②
     
  1. つい使ってしまいがちな二重敬語①

    ■ 敬語表現は一つで十分
    社長秘書の常子さん、受付からの電話を取ると社長を訪ねて来客である。
    「社長、お客さまです」
    「どなたかな?」
    「○○社の、山田営業部長がお見えになられました」
    「ああ、そうか。予定に入っていたね。でも、確か、佐藤専務がいらっしゃる予定だったと思うが?」
    「はい。ですが、佐藤専務はお風邪をお引きになったとか」
    「ほう、そうかね。分かった。応接室にお通ししてください」
    「はい。かしこまりました」
    さて、来客が帰ったあとで、常子さんは社長に、「常子くん、さっきの会話の中に二重敬語が二つもあったね」と、注意された。
    「はあ?」と首をかしげた常子さん、まるで分からない。
    まず、『お見えになられました』には、『お見えになる』と『なられる』という、二つの敬語表現が使われている。敬語表現は一つで十分だし、二つ、三つと重ねて使うとかえってわずらわしく感じてしまうもの。『お見えになりました』で十分だ。もう一つは『お風邪をお引きになる』。これは、『お』が二つ重なった二重敬語。このように敬語表現が重なる場合には前を省略するのが原則。つまりこちらは『風邪をお引きになった』でよいというわけだ。『お』が重なるもののほかに、『お』=『ご』というパターンもある。駅やデパートのエスカレーター付近で、「お足元にご注意ください」というアナウンスをよく聞くが、これも実は二重敬語で、『足下にご注意ください』で十分だ。ただし、「お話をお聞きしたい」などという場合は『お』が重なっていても二重敬語ではない。「お話」は相手に対しての尊敬語、「お聞きしたい」は謙譲語となるからだ。
  2. つい使ってしまいがちな二重敬語②

    ■ その他の気をつけたい二重敬語
    つい、使ってしまいそうな二重敬語は、そのほかにもありそうだ。実際、常子さんは、社長に前項のような説明をしてもらったあとで、「社長がおっしゃられたことを、今後、気をつけるように致します」と言ってしまい、「常子くん、それもだよ」と、またしても二重敬語を指摘されたのだ。
    確かに彼女のせりふは、「おっしゃる」という尊敬語に、さらに尊敬の助動詞「られる」を付けてしまっている。立派な(?)二重敬語である。ここは「社長がおっしゃったことを」で、十分だ。
    また、同じく前項で、来社予定であった○○社の佐藤専務が入院したとする。常子さんなら「ご入院されておられます」などと言ってしまいそうだ。こう言うと、「ご入院」「されて」「おられます」と、敬語表現が三つも重なることになる。さすがにこれはうるさく感じる。「入院されています」と言えばいいだろう。当たり前のように使っている「ご訪問された」「ご結婚された」なども、厳密には二重敬語と言える。こんな場合も「訪問された」「結婚された」でよい。ただしこれも前項で説明したとおり、前を省略する。後ろの敬語表現を省略、「ご入院しています」「ご結婚した」とは言わない。こう言うと、かなり不自然に聞こえてしまいそうだ。
    また、敬語の場合、誰を敬った言い方なのかも考える必要がある。例えば誘拐犯に、「誘拐した人たちを早く解放していただきたい」などと言ってしまいそうだがこれも間違い。この場合、「いただく」は謙譲語。こちらがへりくだるということは、つまり、誘拐犯を敬ってしまうことになる。「解放して欲しい」でよい。
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