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- ○カリスマリーダーの共通点は「間」だった
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カリスマリーダーの共通点は「間」だった
2010年6月、ソフトバンクの定時株主総会で孫正義社長はソフトバンク「新30年ビジョン」を発表しました。自ら「人生で一番大切なスピーチ」「現役時代最後の、30年に1回の大ぼら」と銘打ったスピーチです。創業30年の節目に、今後30年間かけてソフトバンクが進むべき道、300年成長し続ける企業をつくるための羅針盤を示しました。
「間」を◎マークで表示します。「私たちは
◎(1秒の間)
たった一つ
◎(1秒の間)
何を成したいのか。
◎(1秒の間)
情報革命で
◎(1秒の間)
人々を幸せにしたい。
◎(1秒の間)
この1点であります」
孫氏は、普段はどちらかというと早口で話す方です。だからこそ「間」をとると、その前後の言葉が際立ちます。さらに、およそ2時間にわたるスピーチ中、「情報革命で人々を幸せに」というキーワードを12回繰り返しています。しかも、「たった1つ、何を成したいのか。情報革命で人々を幸せにしたい。この1点です」とキーワードと共に「たった」「1つ」「1点」という言葉を使うことでより強調して訴えかけます。
「我々がやりたいのはたった1つであります。
◎(1秒の「間」)
繰り返します。
◎(1秒の「間」)
情報革命で
◎(1秒の「間」)
人々に幸せを提供したい。
◎(1秒の「間」)
情報革命で
◎(1秒の「間」)
人々を幸せにしたい。
◎(1秒の「間」)
たったこの1つであります。
◎(1秒の「間」)
たったこの1つだけを
◎(1秒の「間」)
我々は成したいんです」
◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎(10秒の「間」)
最後の締めに、彼は韓国籍の祖母の写真を背に自分の生い立ちを話します。時折涙ぐみ、声を震わせ「間」をたっぷりとりながら話す姿は、「すごい!」「やはり成功者は違う!」などと大絶賛され、「最高のスピーチ」と評されました。経営者としてのカリスマ性を表現したのです。このスピーチによって社員は、「『孫正義』のソフトバンクではなく『我々』のソフトバンクである」と確認したといいます。このスピーチ以降のソフトバンクの業績が上向き好調であることは、ご存じの通りです。スピーチを聞いた社員や株主、そしてスピーチ動画を見た社会の人々の応援がこの結果を生んだのです。アメリカでは故スティーブ・ジョブズ氏やバラク・オバマ前大統領は、誰もが認めるスピーチ上手。彼らもやはり「間」を上手に使っています。大統領も経営者も、人に話を伝えることで自分の望む政策やビジネスを実現させようとしているリーダーであるところは同じです。今回ご紹介した孫氏の生い立ちを語った話でもわかるように、どんなカリスマリーダーも、最初は小さな一歩から始めています。そこから一段ずつ階段をのぼっていくときに、人を惹きつけて巻き込み、味方にするための話し方の武器。それが「間」だったのかもしれません。「間」はあなたの将来を切り拓く想像以上のパワーがあるのです。
たった一言で人を動かす 最高の話し方
3章 世界の一流に学ぶ「最高の話し方」より
「なぜ、あの人が話し出すと 聞き入ってしまうのだろう?」あの起業家、政治家や一流企業の幹部も実践中!NHKキャスターとして17年活躍し、現在は5歳から80歳まで31,000人の話し方を劇的に向上させた著者だけが知っている、成功を勝ち取るスゴい話し方!「雑談」「プレゼン」「挨拶」「営業トーク」「結婚式のスピーチ」「初デート」といったどんな時でも対応可能!仕事も人間関係も「話し方」次第で劇的に変わる、最短、最速で最高の結果を出す究極のコミュニケーション術をお届けします。