目次
- ○多くの機能を持つ第6の栄養素
- ○独自の働きをする水溶性食物繊維と不溶性食物繊維
- ○発酵性の高い水溶性食物繊維に注目
- ○おもな食物繊維の種類と働き
- ○食物繊維18gが手軽にとれる食材・食品Best5
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多くの機能を持つ第6の栄養素
食物繊維は、「ヒトの消化酵素では消化されない食物中の難消化性成分の総体」と定義されています。消化されずに腸まで届きますが、腸内でのさまざまな働きが明らかになるにつれて、第6の栄養素として注目が集まっています。「食事摂取基準」による一日の目標量は30代女性で18g以上、男性は20g以上です。食物繊維は腸内細菌のエサとなって、腸内環境を整える働きがあります。腸内環境は免疫力とのかかわりが深いため、積極的にとりましょう。 -
独自の働きをする水溶性食物繊維と不溶性食物繊維
食物繊維には水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維があります。水溶性食物繊維は、食べ物をゲル状にして消化速度を遅らせるため、糖質の吸収が抑えられ、急激な血糖値の上昇を防ぐことができます。また、腸内ではコレステロールや胆汁酸などを吸着して便と一緒に排泄するため、コレステロール値の上昇を防ぎます。一方、不溶性食物繊維は便のかさを増やすと同時に腸壁を刺激して、ぜん動運動を活発にします。便秘の予防・改善に効果的です。 -
発酵性の高い水溶性食物繊維に注目
水溶性食物繊維は不溶性食物繊維とくらべると、腸内細菌によって発酵されやすく、その際につくられる酢酸や酪酸などの短鎖脂肪酸は、エネルギーとしても使われます。そのエネルギー量は、1gあたり約2㎉で、大腸の粘膜組織の再生に利用されるほか、体内でも消費されます。また、短鎖脂肪酸がつくられることで大腸内は酸性に傾きます。ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌は酸性のなかでも生きていけますが、悪玉菌は酸性に弱いため、結果、善玉菌が優勢になり、腸内環境がよくなります。食物繊維をとるときは、水溶性と不溶性、どちらもバランスよくとることが大切です。 -
おもな食物繊維の種類と働き
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食物繊維18gが手軽にとれる食材・食品Best5
1位 角寒天 24.3g(74.1g/100g中)
2位 ひじき(ステンレス釜、乾) 34.7g(51.8g/可食部100g中)
3位 いんげん豆(全粒、乾) 93.3g(19.3g/可食部100g中)
4位 イチジク(乾) 168.2g(10.7g/可食部100g中)
5位 七分つき押麦 174.8g(10.3g/可食部100g中)
角寒天1 本約8g で5.92g。ほか海藻類、モロヘイヤ、ごぼう、きのこ類、おからなどに含まれるので、いろいろな食材からとりましょう。
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