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【医師執筆】体内酵素と体外酵素の働きと違い

酵素は体内で起こる化学反応の触媒となるたんぱく質であり、これが不足すると不調を招いてしまいます。人間のみならず動物や植物など、あらゆる生命体にとって必要不可欠な酵素の分類や働きについて、栄養学の面から詳しくご紹介します。

鶴見隆史(鶴見クリニック理事長)

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目次

  1. ○酵素には体内酵素と体外酵素がある
     
    • 酵素には体内酵素と体外酵素がある

      食物の消化を一手に引き受ける第9番目の栄養素「酵素」

      前項で、酵素が不足すると不調を招くということは、おわかりいただけたのではないでしょうか。では、もう少し詳しく酵素のはたらきをみていきましょう。
      酵素は体内で起こる化学反応の触媒(化学反応を推し進める物質)としてはたらくたんぱく質で、人間のみならず動物や植物など、あらゆる生命体にとってなくてはならない栄養素です。
      栄養学の世界で酵素のはたらきが知られるようになったのは、ごく最近のこと。そのため酵素は、8大栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維、ファイトケミカル、水)に続く、新しい第9番目の栄養素と呼ばれています。
      酵素は大きく分けると、体内にある「体内酵素」(潜在酵素)と、外部から食事によってとり入れる「体外酵素」があります。体外酵素の代表は、食物からとり入れる「食物酵素」。そしてもう1つは、腸内細菌が生み出す「腸内細菌酵素」です。

      酵素の分類

      栄養をとっても消化酵素がないと意味がない

      体内酵素のうち「消化酵素」は消化器官内で分泌され、食物に含まれる栄養を、エネルギー源として腸壁で吸収できるように小さな分子に分解します。
      さきにあげた8大栄養素が体内ではたらくためには、消化酵素が欠かせません。いくら栄養たっぷりの食事をとっても、消化酵素がなければ栄養成分は腸を素通りして吸収できず、体に役立てることはできないのです。

      消化酵素のはたらき

      消化酵素は、炭水化物のデンプンを分解するアミラーゼ、たんぱく質を分解するプロテアーゼ、脂質を分解するリパーゼという3つのグループに分かれ、全部で24種類ある。

      生命を維持する代謝酵素

      2万種類以上もあるといわれている体内酵素のうち消化酵素以外は、すべて「代謝酵素」です。代謝酵素は、次に挙げるようにあらゆる生命維持活動にかかわっています。

       ・体内に吸収された栄養素をエネルギーに変える

       ・古くなった細胞や組織を新しく入れ替える

       ・遺伝子の修復や免疫力を調整する有害物を解毒する

       ・老廃物を排泄する

      酵素の種類が多いのは、1つの酵素は1つのはたらきしかおこなわないため、役割の数だけ酵素が必要になるからです。
      人間の体を構成する100兆個もの細胞は、1日100万回の化学反応を起こして生命活動を維持しています。この化学反応を仲介している酵素がなければ、人はまばたきすることも、息をすることも、食べ物を消化することもできません。酵素は、私たちの健康、命を支える特別な栄養素といえましょう。

      「カギ」と「カギ穴」のように、ある酵素が果たす役割は決まっている

      「カギ」と「カギ穴」のように、ある酵素が果たす役割は決まっている

食事を変えれば病気は治る

鶴見隆史,神崎夢風

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